鹿児島・桜島のように長期間噴煙上げ続けている活火山がある一方で、
長い間おとなしかったのに突如目を覚まして、また眠りにつく火山もある。
長崎・島原半島の雲仙・普賢岳(ふげんだけ)は後者。
1990年、198年ぶりに噴火。
1995年、溶岩噴出停止。
1996年(平成8年)、噴火終息宣言。「平成新山」と命名(一番新しい山爆誕)。
1998年、登山道再開。
雲仙岳は普賢岳、国見岳、妙見岳などの総称。北西の九千部岳や雲仙温泉周辺の山々も含んで「三峰五岳」の雲仙岳。
噴火で誕生した平成新山のほうが高くなった。島原半島のみならず長崎県最高峰。
普賢岳:1359m
平成新山:1483m。1488mから低くなった。一番高かった時は1494m(1994年)とのこと
東は島原、西は小浜(おばま)。
登山口・仁田峠近くに雲仙温泉があり、小浜の海側には小浜温泉もある。
雲仙温泉
雲仙岳は平成新山で若干噴気が出ているようだが、鎮まっている状況。
一方、盛んに湯煙出ているところが雲仙温泉。
雲仙(うんぜん)は元々温泉(うんぜん)。雲仙温泉は「温泉温泉」。
温泉街
宿多数
立ち寄り場は、雲仙新湯温泉館、湯の里温泉、雲仙よか湯、ちょこっとゆかゆ、小地獄温泉
雲仙地獄めぐり
古湯
新湯
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2018年、新しい地獄発見。いぶき地獄。極楽公園。
温泉たまご
地獄という名の極楽ニャン
- 雲仙お山の情報館(unzenvc.com/)
ビジターセンター。雲仙岳の情報など
- 雲仙ビードロ美術館
- 満明寺
701年創建。なんと奈良時代より前。 - 温泉神社
- 雲仙おもちゃ博物館
- 原生沼 ・・・ 草原化
- 鴛鴦(おしどり)の池
白雲の池 - 絹笠山
雲仙小中学校跡は雲仙BASE。
混雑期にここからシャトルバス。
雲仙・普賢岳 山登り
登山口・仁田峠まで一方通行(反時計回り)の循環道路。野岳を大きく巻いている。
※ 仁田峠はバス路線から離れている
マイカー・レンタカー以外のアクセスは、
雲仙温泉からタクシーか徒歩
仁田峠乗合タクシーは運休中という情報も
徒歩の場合、循環道路ではなく、池の原経由の九州自然歩道。コースタイム70分。
ミヤマキリシマの見頃は5月中・下旬
- 雲仙温泉 - 池の原 - 仁田峠 - 妙見岳
仁田峠からロープウェイあり → 雲仙ロープウェイ(unzen-ropeway.com/)
昔、車&ロープウェイで往復した。
▼ ロープウェイ終点から水無川方向
妙見岳から先の登山道が解禁になったばかりの時。
観光客がたくさんいた。
ロープウェイ終点「妙見岳」から妙見[岳]神社、妙見岳山頂。
仁田峠が標高約1100m、妙見岳は標高1333m。
ここで折り返しても十分満足できると思うが、
まだしばらく良い道が続いているので、国見岳へ登ることもできる。
- 妙見岳 - 国見分かれ - 国見岳
国見分かれから先はダウン・アップで息が切れた。
※ 雲仙ロープウェイHPによると国見分かれ~鬼人谷口が通行止めになっている(2024年時点)
普賢岳登山は仁田峠から「あざみ谷」経由のルートもある。コースタイム70分
- 国見分かれ - 鬼人谷口 - 紅葉茶屋 - 普賢岳
- 仁田峠 - あざみ谷 - 紅葉茶屋
あいにく霧のため稜線が見えず、目指す普厳岳がどこなのか分からず。
普厳岳山頂到着。妙見岳からコースタイム60分(国見岳スルーの場合)。もう少しかかったような記憶。
山頂には先着の人がたくさん休んでいた。
霧の中。視界なし。
昼ご飯食べながら平成新山が現れるのを待った。
地元の人は新山の方向が分かるようで、みな同じ方向向いていた。
いざ現れてみると思っていた以上に近くて驚いた(下の写真はズームだけど)。
▼ 平成新山(溶岩ドーム)
すぐに風に消されて、この日の“顔見せ”おしまい。
※ 2012年に整備・開通した新登山道がもっと平成新山寄りを通っている。一方通行
鬼人谷口から風穴 - 立岩の峰 - 霧氷沢[分かれ] - 普賢岳
平成新山は立入禁止
残念ながら麓から山上は見えなかった。
雲仙岳火山史
1990年11月、噴火開始。
普賢岳から東、水無川と中尾川に火砕流や土石流流下。
島原市街が孤立した時もあった。
・ 安徳~深江方面へ流れる水無川
大野木場、上木場、白谷町
1991年(平成3年)6月 大火砕流
日に日に溶岩ドームが成長していたなか避難勧告区域内で取材を続けて、巻き添えの犠牲者も出てしまった。
火砕流は恐ろしい。
北上木場の取材拠点「撮影定点」跡に追悼碑。
6月3日は「いのりの日」。
大野木場小学校跡が災害遺構。国土交通省砂防みらい館など
▼ 水無川下流から平成新山方向
・ 島原~三会へ流れる中尾川
千本木、折橋
1992年から火砕流流下。1993年、大規模な土石流・火砕流流下
▼ 中尾川から砂防堰堤(治山ダム)
▼ 砂防堰堤(治山ダム)から中尾川
既設の治山ダムがあったが、防ぎきれず。
1998年夏。草は生えていたが、虫も鳥もいない。音もなく「死の世界」だった。
今は緑化が進んでいる。
折橋にしまばら火張山花(ひばるやまはな)公園
一連の噴火の溶岩噴出量は約2億m3。
遡ること約200年、1792年の噴火は、
普賢岳北東、千本木方面へ溶岩が流れて、
地図には「焼山」とある。
この後、普賢岳の東側にある眉山(もと溶岩ドーム)が地震で大崩壊。
今日の島原港や南島原駅(現・島原船津駅)などは当時海で、眉山の山体が海に落ちて陸域が広がった。
さらにこの時、津波が発生、対岸の熊本・天草で大被害。
世に言う「島原大変肥後迷惑」。
現地で眉山の凄まじい写真を見かけた。
そんな眉山だが、1990年代の一連の噴火では盾となって島原市街を守った。
麓の島原総合運動公園に眉山治山祈念公苑がある。
北村西望作・聖観世音菩薩像。
先日、井の頭公園で見たゾウ(前回のページ)
▼ 水無川下流から眉山方向
(まだ当時はなかったが、)道の駅の近くから撮影。
今日、道の駅に土石流被災家屋保存公園が隣接。
水無川右岸沿いは「ふかえ桜パーク」になっている。
普賢岳・平成新山と眉山の間に「島原まゆやまロード」。千本木島原港線 42-207。
訪れた時は千本木から途中の垂木台地で途切れていたが、2000年に開通。
垂木台地に平成新山ネイチャーセンター(heiseinc.com/)がある。2003年OPEN。
気象庁 日本活火山総覧によると
1792年の前の噴火が1663年。
その前は約4000年前まで空白。
約4000年前、眉山誕生。
気象庁 「雲仙岳の噴火警戒レベル」の図を見ると
普賢岳・平成新山から北~東が溶岩流や火砕流流下の想定区域。
雲仙温泉を含む西~南は塗られていない。
※ 気象庁HP - 各種データ・資料 - 各火山の活動状況 - 雲仙岳
地震などで起こりうる溶岩ドーム(平成新山)崩壊のハザードマップもある。水無川方面が想定影響範囲。
※ 島原市防災マップ - 「溶岩ドーム崩壊からいのちを守る」
「火山災害から身を守るために」の図は上述の「雲仙岳の噴火警戒レベル」の図とほぼ同じ
詳しい情報は、気象庁や産業技術総合研究所 地質調査総合センターのほか
九州大学 インターネット博物館「雲仙普賢岳の噴火とその背景」(museum.sci.kyushu-u.ac.jp/)
など。
上記インターネット博物館の第3部第16ページ
によると雲仙火山のマグマ溜りは島原半島西の橘湾(とみられる)。
噴火の10年前から橘湾を震源とする地震が多発して、だんだん東へマグマが上昇していった---
突如噴火したように見えても前兆がある。
研究者の声によく耳を傾けることが身を守ることにつながる。
付記)雲っている写真ばかりだが、実際はもっと景色の良いところ。