三角比 サイン sin、コサイン cos、タンジェント tanのまとめ。
sin・cos・tanは直角三角形の底辺 X、垂線 Y、斜辺 Zの比。
sinθ = 垂線 Y ÷ 斜辺 Z
cosθ = 底辺 X ÷ 斜辺 Z
tanθ = 垂線 Y ÷ 底辺 X
直角三角形の図を見て
垂線 Y = Z sinθ
底辺 X = Z cosθ
垂線 Y = X tanθ
がパパッと出るようになれば第一関門クリア。
関係式 その1、その2
第二関門はいろいろあるsin・cos・tanの関係を知ること。
その1)tanθ = sinθ/cos θ
(Y/Z) ÷ (X/Z) = Y/X
これは簡単。
その2)sin2θ + cos2θ = 1
Y2 + X2 = Z2となる。
これは三平方の定理(ピタゴラスの定理)の別表現に他ならない。
こみいった計算式の中にsin2 + cos2を見つけて1に変換した後のささやかな安堵感は、我々の頭の片隅に眠っている計算能力を呼び覚ます助けになるかもしれません。
関係式 その3
その3)cos2θ - sin2θ = cos 2θ
2θはθの2倍角
これは?
前回の放物線軌道の式で、元の高さに落下すなわち飛んだ距離は
x = (2v02sinθcosθ)/g。
このxは、斜角 θ=45°のとき、最大すなわち最も遠くへ飛ぶ。
実際には物体は質点ではなく空気抵抗を受ける。
野球の場合、ボールには回転もかかって、角度40°以上のホームランは少ない。
最も遠くへ飛ぶ角度は30°ぐらいとされる。
で、
sinθの最大がθ=90°(=π/2)で1
cosθの最大がθ=0°で1
と知っていても
sinθcosθの最大は何だろう?となる。1より小さいことは確かだが……。
y=sin x・cos xの図を描いてみる。
上図の紫色の曲線がsin x・cos x。
最大(ピーク)は0.5。
x=0.785(=π/4)つまりθ=45°のとき最大。
飛んだ距離 xの最大は、xの式をθで微分して0になる(増減0でピークになる)θを求める。
dx/dθ = (2v02/g)(cosθcosθ-sinθsinθ)
※ sinθ微分 ⇒ cosθ
cosθ微分 ⇒ -sinθ
(xy)’ = x’y+xy’
ここでcos2θ-sin2θがcos 2θになる。
俄かには分からない変換だが、
ひとまずcos 2θ=0になるθは45°(cos 90=0なので)。
青色の曲線がsin、橙色の曲線がcos。
sin 0=0、cos 0=1
sin 90=1、cos 90=0
関連して
その3’)sin 2θ = 2sinθcosθ
sinθcosθの微分は、sin 2θ/2の微分と同じ。cos 2θになる。
※ (微分はいつの日かまとめる)
上のsin 2θ、cos 2θすなわち2倍角の式は
以下の加法定理から求められる。
- sin(α±β) = sinαcosβ ± cosαsinβ
- cos(α±β) = cosαcosβ ∓ sinαsinβ
α=βのとき2倍角の式になる。
α=2θ、β=θとすれば3倍角の式も求められる。
移項すれば半角の式も。
この加法定理は図を描いてベクトル使うなどして証明できるが、
パパパッと導き出せる人は天才。
拙者省略。
幸い結果を知っていれば先に進める。
他にも
セカント sec = 1/cos
コセカント cosec = 1/sin
コタンジェント cot = 1/tan
などなどあるが、
無理に覚えなくてよいものもある。
角度 ラジアン
角度の単位は「度 °」の他に「ラジアン rad」がよく使われる。
0°~90°~180°~270°~360°と
0[rad]~π/2[rad]~π[rad]~3/2π[rad]~2π[rad]
が対応している。
通常、radの表記は省略される。
扇形の弧長 l=半径 r ・中心角 θで、
l=rのときのθが1[rad]。
θ=π[rad]のとき、扇形は半円。l=πr。
π=3.14 [rad] =180°
θ=2πのとき、円。lは円周。l=2πr。
θ°:180° = 1:π
1[rad] = 180/π = 57.3°
直角三角形の代表は三角定規でお馴染みの
45°、45°、90°
30°、60°、90°
θ=45°=π/4は上図の青色。
X:Y:Z=1:1:√2
sin 45 = 1/√2、cos 45 = 1/√2、tan 45 = 1
sin 45・cos 45 = 1/2
θ=30°=π/6は上図の橙色。
X:Y:Z=√3:1:2
sin 30 = 1/2、cos 30 = √3/2、tan 30 = 1/√3
θ=60°=π/3は上図の赤色。
上のXとYが入れ代わっただけ。
sin 60 = √3/2、cos 60 = 1/2、tan 60 = √3
θ=18°ならば、
18°:180° = x:π
x = 18π/180 = π/10[rad]
tan 0=0
tan 90は1÷0なので無限大 ∞
sinθ、cosθは1を超えることはないが、
tanθはθ=45°~90°で1~∞
y = sin x
y = cos x
y = tan x
のx-y関係が三角関数。
図2の青色の曲線がsin、橙色の曲線がcos。