半導体・エレクトロニクス ひとまとめ

TECH(工科)
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近頃目につく半導体

 近頃半導体の話題が多々目につくようになった。 

 これまで日々コンピューターを使っていながらブログで触れることはほとんどなかったが、少し整理しておいた。

 近頃はエネルギー不足、穀物不足で、いずれも日本は自給率が低く、円安で値上げ---
と良からぬ状況だが、半導体も1年以上不足状態。

 2020年10月 宮崎県延岡市 旭化成エレクトロニクス工場
 2021年3月 茨城県ひたちなか市 ルネサスエレクトロニクス那珂工場
で火災が相次ぎ、
 世界的にも
 ウイルス禍で工場の稼動が止まったり、
 米中半導体摩擦の影響や
 需要予測の読み違いなどが重なって
 半導体不足。
 解消は年内(2022年)という予測から2024年までずれ込むという予測までまちまち。

 半導体の需要はウイルス禍で冷え込むどころか増えた。
 世界中の人々がリモート(遠隔)生活を強いられて、パソコン PC、通信(ネットワーク)機器などの利用が増加。密集しがちな公共交通を避けて自動車の利用も増加。

 リモート生活は一過性かもしれないが、
 今後も社会全体デジタル化推進の流れなので、
 半導体の需要は増えていく見込み。

 日本は世界の半導体市場における国際的なシェアが低落の一途で、何もしないでいると2030年頃ほぼ0%になるという予測もある。
  ※ 経済産業省 半導体戦略(概略) - 参考 主な背景
    日本の国際的なシェアは現在約1割。最盛期は約5割占めていた

 が、明るい動きもある。

 熊本県菊陽に半導体受託製造最大手TSMC社(タイワン)の工場建設中。2024年から生産開始予定。
 日本企業ではなく世界の最先端というわけでもないが(22-28nmクラスのロジックLSI)、安全保障上必要。何もしないより良いだろう。

 熊本「シリコン・バレー」
というか九州全体が「シリコン・アイランド」復活で意気込んでいる。

 東北も岩手県北上でキオクシアの工場増設中(フラッシュ・メモリ)。
  ※ ウエスタン・デジタル社と共同
    三重県四日市にも工場がある
 こちらも「北上川バレー」と呼んで意気込んでいる。

 半導体デバイスの分野はタイワン、カンコクのほうが先行しているのが実状だが、
 半導体材料の研究開発や半導体製造装置の分野では日本も依然強さを維持している。

 ※ 半導体関連産業は、

  •  半導体材料
  •  半導体製造装置
  •  半導体デバイス[設計/製造]
  •  電子機器(エレクトロニクス機器)

   半導体デバイス = IC/LSI、トランジスタ、ダイオード、センサー類など
   TSMC社は半導体デバイスの[受託]製造部分の前工程(ファウンドリーと呼ばれている)に相当

 半導体デバイスや電子機器の分野が一般消費者との接点になるので、日本半導体の存在感が薄れてダメダメ言われがちだが、半導体材料や半導体製造装置の分野で強さを維持している間に巻き返さないといけない状況。

 TSMC社の工場はアメリカでも建設中(アリゾナ州フェニックス)。2024年から生産開始予定。こちらは5nmクラスのロジックLSIとのこと。

 もしもタイワンが侵攻されるようなことがあれば、日本も最先端の電子機器が作れなくなる。
 ウクライナの人が抗戦せずに降伏していたらもっと危うい状況になっていただろう。

 世界も日本も潮目が変わりつつあり、
 次世代2nmクラスのLSIの日米共同開発の話も聞こえてきた。
  ※ 2021年5月にIBM社が2nmクラスのLSI開発

 かつて隆盛を誇った日本半導体がアメリカの“言い掛かり”(日米半導体摩擦)で衰退したというのは確かだと思うが、
 その後、21世紀、平成の時代通じて復活させようとする機運が乏しかったわけだし、
 グローバル化掲げながら対応できたとも言い難い。
 他にも理由がいくつか挙げられるだろう。

 2ヶ月以上連日ウクライナから戦況が流れてくるが、
 兵器の新旧大きな性能差は戦局に大きな影響を及ぼす。
 精密誘導、ドローン、通信機器などの肝は半導体。
 将来、侵攻があるとしたら(防がないといけないが)、ドローンとロボットが多用されるのではなかろうか。

 日本はアメリカと違って軍事忌避的だが、遅まきながら経済安全保障推進法が成立したのは良かった。

 「日本半導体の盛衰」など詳しくは、

  •  日本半導体 復権への道 / 牧本次生 / 2021 / ちくま新書
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半導体について

 順序が逆になってしまったが、今後のためにも半導体についてザッとまとめておいた。

 ありとあらゆる電子機器に組み込まれているのが半導体。
 電子機器の中(の四角く黒い足付きの「パッケージ」の中)に組み込まれているチップが半導体という理解でも大体合っている。

 より正確には半導体素子(主にトランジスタ、ダイオード)をチップに集積したものがIC(集積回路) Integrated Circuit。
 いっぱい(半導体素子1000以上)集積したICがLSI(大規模集積回路) Large Scale Integration。

 IC/LSI[チップ]の他、LED(発光ダイオード)やセンサー類も半導体デバイス
 珪素(シリコン) Si、ゲルマニウム Ge、炭化珪素 SiC、窒化ガリウム GaNなどが半導体の性質を有する。

 先述の22-28nmとか5nm、2nmのnmとはナノ・メートル(10-9m)という微小の単位で、値が小さいほどIC/LSIに半導体素子を多く集積できる(詰め込める)。昔はマイクロ μ(10-6m)単位だった。
 微細化の結果、小型で高性能(高処理速度、大記憶容量)で低消費電力のLSI[チップ]、電子機器を作ることができる。

 現在最先端のロジックLSIは7nm、5nmクラス。
 日本は40nmクラス。

 演算、制御といった処理を行うIC/LSIがプロセッサー。ロジック(=論理)とも呼ばれている。コンピューターのCPU、GPUなど。
 データやプログラムを記憶するIC/LSIがメモリ。RAMやROM。

 これら弱電で作動するIC/LSIとは別に
 より大電流・高電圧の電力を制御する「パワー半導体」もある。
 電回路のトランジスタ、ダイオードなど。
 高出力モーターを駆動させることができる。
 この分野は日本強い。

 一般的な電子工作は、
 プリント基板にIC/LSI(プロセッサー、メモリ)を載せて
 入力装置(スイッチ、キーボードなど)、
 出力装置(ライト、スピーカー、モーターなど)
をつなげて
 ソフトウェアでプログラムを書いて
 メモリに書き込む作業。
 いわゆるマイコン(マイクロコンピューター、マイクロコントローラー)開発。

 自動車、家電、コンピューター、通信機器、スマートフォン、医療機器、ゲーム機、……
 身の回りの多くのモノに半導体/マイコンが組み込まれている。
 自動車だけみてもエンジン、ブレーキ、ステアリング、ライト、ドアなどの制御に半導体/マイコンが使われ、カーナビにも使われ、電気自動車 EVはパワー半導体でモーターを駆動させる。
 今後もIoT(モノのインターネット)、ロボットなど
 益々半導体/マイコンが組み込まれたモノに取り囲まれていく。

 やがて人間も……。

 社会の制御と個人の自由はぶつかり合うので、その中間でバランスを維持し続けることが人類永遠の課題だが、永遠に難題。

 社会はデジタル化。
 私はアナログ人間。

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