続・新型コロナウイルス 2019-nCoV

NATURE(自然)
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感染状況

 ただいま猛威を振るっている新型コロナウイルス。前回、『新型肺炎注意報』を書いた時は(1月22日)、感染者440人・死者9人だったが、翌日からチャイナ ブカン(武漢)の交通機関が停まって日に日に感染者・死者が増えていった。1週間後(1月29日)、感染者6000人超・死者100人超。その後も収まる気配がみられない。

 既に人から人への感染はあるとしか考えられない状況だったが、感染力が弱いと言われながら感染者が増え続けていたので気味悪かった。

 発症者からの感染力は、SARSウイルスやMERSウイルスよりも弱いとされるが、今回の新型ウイルスは咳や発熱などの症状がない人からも感染しているため、感染者が増え続けていたようだ。少しモヤモヤが解けた。

 インフルエンザウイルスも潜伏期間中に人から人へ感染するようだが、全般的にみれば新型ウイルスの感染力もSARSやMERSよりも強い。
 今回同様チャイナが感染源だったSARSの感染者数が、およそ半年の間に(2002年11月-2003年7月)8000-8500人と報告されているが、今回は2ヶ月足らずで超えてしまった。
  1月31日の時点で感染者9000人超・死者200人超。
  2月2日の時点で感染者14000人超・死者300人超。

 増え方が気になる。

 簡易検査では検知できない場合もあるわけだから「水際」で食い止めることが益々難しくなった。

 27の国・地域で感染者確認。
 チャイナ、ホンコン、マカオ、日本、タイワン、フィリピン、ロシア、カンコク、ベトナム、カンボジア、タイ、マレーシア、シンガポール、インド、ネパール、スリ・ランカ、U.A.E.、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、スウェーデン、フィンランド、カナダ、アメリカ、オーストラリア。

 なお、日本で確認された感染者がみな日本人というわけではなく、感染者が隔離されているか否かでも変わってくるので、単純比較はできない。

 チャイナ以外の国々では死者が出ていなかったが、2月2日、初めてフィリピンで死者が出た。ただし、フィリピンで確認されている感染者は2人なので、今のところ流行しているわけではなさそう。
 日本も内閣官房の現場(帰国者受け入れ業務)の職員が亡くなっている。

 アメリカ ジョンズ・ホプキンス大学  Mapping 2019-nCoVのページ(systems.jhu.edu/research/public-health/ncov/
から新型コロナウイルスの現在の拡散状況を把握することができる。
 ページ下の地図をクリック(タップ)。

 湖北省以外では10以上の省・自治区・直轄市で感染者が100人を超えているが、その一方、死者が多数出ているわけではない。
 全体の致死率は2%強で推移しているから感染者が数十人を超え出すとポツリポツリ死者が出始める計算になるが、ブカンのある湖北省が致死率3%強であるのに対し、次に感染者が多い浙江省や広東省では感染者600人超・死者0だから、湖北省内外で結構差がある。
 湖北省では感染者が増えすぎて医療体制が追いつかず死者が増えているようにも見える。ブカンで感染者500人と伝えられていた頃、実際は1000人を超えていた可能性がある。

  •  若い人 --- 回復
  •  中高年 --- 危険

 といった具合だが、この点インフルエンザや風邪と大差ない。インフルエンザも風邪もこじらせれば長引いて肺炎にもなりうる。個人的にはインフルエンザと同程度の脅威。

  •  新型ウイルスで特効薬がないこと 
  •  過去に多数の死者を出したSARSやMERSと同じ仲間のウイルスであること
  •  致死率が低いといってもインフルエンザよりは高いこと
     ※ [季節性]インフルエンザの致死率:0.1%未満(0.08%-0.02%)
  •  目下感染拡大中で先が見通せないこと

が不安を増幅させているが、予想される感染経路は比較的はっきりしているので、断てば良い。特に島国の場合、海路・空路を断てば良い。断てば……。

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対応策

 残念ながら今回はSARS、MERSの時と違って日本でも感染者が出てしまった。無発症の感染者対策に不備があった。
 だが、より大きな問題は、SARSが流行していた時と取り巻く状況が一変している点。当時は、官も民も今ほど外国人ホイホイではなかった。
  ※ 2003年に観光立国宣言。
 インバウンド(訪日外国人)4000万人、6000万人、……。狂気を感じる。
 一時的な観光客減よりも観光地がウイルス流行地になるほうが余程大打撃だと思うのだが……。

 ブカンが「封鎖」状態である以上、チャーター便を出して帰国支援するのは事の成り行きだとして、

  •  今回のウイルスが潜伏期間中にも感染するウイルスであることが判明し、
  •  帰国者の中に感染者がいる可能性が高くなっている(新たな感染源になりうる)

 わけだから、帰国後まもなく(一部の人を)自宅へ帰宅させてしまったのはトンネルエラー。

 いつの間にか感染していて、治らないので病院行ったらコロナちゃん、というケースが今後出てくるかもしれない。その度にYOUはどこへ行ったのか問い詰めて、……。この時点で既に封じ込め失敗。
 特に東京の場合、五輪中止がデマではなく現実味を帯びてくる。
 何事もなければ良いが……。

 その後、新型肺炎を指定感染症に指定した。2月1日から感染症指定医療機関への強制入院が可能になった。いわゆる隔離。帰国支援と噛み合っていなかった点が惜しまれる。

 WHOの対応も遅かった。
 新型コロナウイルスのリスクは「並」 ⇒ 「高い」に修正。その理由が『事務的ミスだった』。いやいや……。    

 一方、どの国よりも対応が早かったのが北チョウセン。未だ感染者の報告なし。
 もしも致死率の高いウイルスだったら北チョウセンが残るのか……。

 チャイナはブカンをはじめ周辺の都市を「封鎖」し、病院を建設し、(チャイナから)国外への団体旅行を禁止した。 
 感染源は例の海鮮市場以外にもあるとみられているが、国内での野生動物の売買を禁止したぐらいだから、やはり野生動物から人への感染なのだろう。コウモリ ⇒ ヘビ ⇒ 人の感染も疑われているが、未解明。

 タイミング悪く春節(旧正月)と重なったが、チャイナ側が渡航制限してくれたおかげで助かっている感もある。制限してくれていなかったら、「水際」で防ぎきれていないし、官主導で「来て来て」状態だから、日本国内における感染者はもっと増えていた可能性がある。民はともかく官はブレーキをかける側であり続けてほしい。

 日本人を帰国させた後のドタバタ感は否めないが、2週間以内に湖北省に滞在した外国人の入国を拒否する措置は適切。やむを得ない。
  ※ 新型コロナウイルスの潜伏期間は、最長2週間とみられている。
    追)2日-10日に変わった。
    追)また最長12.5日に変わった。by WHO。
 ただし、湖北省以外でも感染が拡大中なので、今後ザルになる可能性もある。

 アメリカは湖北省だけでなくチャイナ全土からの外国人の入国を拒否する措置をとった。貿易「戦争」・事実上覇権争いの最中だから「待っていました」といった感もあるが、これぐらい徹底しないと防ぎきれないだろう。

 今後事態が悪化して対応が後手後手のままだと日本も他国から入国を拒まれる側になっていく可能性がある。

 イギリスもEUを離脱したし、グローバル化の波も引きに転じつつある。
 今後いろいろ影響が出てくるだろう。

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ふシゼン
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