ウイルス禍その11 緊急事態終わり -検査等まとめ-

NATURE(自然)

 ようやく北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川も緊急事態宣言解除。結局4月半ば頃がピークだった。
  追)政府の専門家会議のピーク推定日は宣言前の4月1日頃。報告・公表日の約2週間前。

 終息(収束)宣言ではないので、再び感染者が増加に転じることもあるかもしれないが、その時は2度目の宣言も仕方がない。

 十分な対策が施されないまま海外からの(海外への)渡航が再開されて感染拡大、というのがありうる悪いシナリオ。

 ここで今一度検査等について整理。

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ウイルス検査

 高精度の場合
 陽性:ウイルスに感染
 陰性:感染していない

遺伝子検査

 ウイルスのDNA(の特定領域)を増幅させた後、遺伝配列から新型コロナウイルス SARS-CoV-2か否か判定。
 新型コロナウイルスはRNAウイルスなので、DNAに逆転写してからDNA増幅。

 今やみんな名前は知っているPCR検査が代表。
  ※ ポリメラーゼ連鎖反応 PCR Polymerase Chain Reaction
 国立感染症研究所の『病原体検出マニュアル 2019-nCoV』を覗いてみたけど手順は煩雑。
 検査時間は約1~2時間。
  ※ 島津製作所 Ampdirect Technology --- RNAの抽出・精製を省くことで約1時間

 神奈川で目にするのはSmartAmp(スマートアンプ)法 Smart Amplification Process。
  ※ 理化学研究所、神奈川県衛生研究所が開発

 PCR法は温度を上げ下げしながらDNAを増幅させるが、
 SmartAmp法は等温で増幅できるので、より迅速に検出できる。

 LAMP法もSmartAmp法同様、等温で増幅。
  ※ 栄研化学 LAMP Loop-Mediated Isothermal Amplification

 PCR法もサーマルサイクル(加熱・冷却サイクル)を高速化することで、より迅速に検出。
  ※ 杏林製薬 GeneSoC

 国内で開発された全自動PCR検査システムもある。
  ※ プレシジョン・システム・サイエンス PSS geneLEADシステム

 手作業だと手馴れた限られた人しかできないし、感染リスクもあるので、検査数を絞らざるを得ないのはもっとも。

 ただ、新しい技術を生かすことができれば、短時間(その場)で判定できたり、大勢検査できたり、事態は改善されていく。

 検査を断られ続けて亡くなった人は不憫だと思う。

抗原検査

 抗原とはウイルスや細菌などの病原体。

 抗原検査と呼ばれているのは、遺伝子までは調べないウイルス検査。ウイルス本体の核酸(DNA/RNA)ではなく、表面の蛋白質から新型コロナウイルスか否か判定。

 PCR検査等より精度が落ちるが、簡易かつ短時間(約15~30分)で判定できるので、大勢検査することができる。

 陰性の割合が高いので、陰性の場合、PCR検査等を行う必要がある、とのこと。

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抗体検査

 採取した血液から抗体の有無を調べることで、過去にウイルスに感染していたかどうか分かる。

 高精度の場合
 陽性:抗体あり --- 感染した、もしくは感染中
 陰性:抗体なし --- 感染していない
  感染して未だ抗体ができていない場合もある。

 通常、抗体ができていれば(陽性ならば)、再感染しにくい。

 が、新型コロナウイルスの場合、変異を繰り返すため、再感染の恐れもある。

 抗体検査は、どの程度感染が拡がっていたか把握できるが、事後的でどちらかというと学術用途。

 日本でも6月から東京、大阪および宮城で、1万人規模の抗体検査(調査)が行われる予定
 満員電車も走っていたし、無症状の感染者からうつるウイルスなので、どんな結果が出るのか興味ある。
 追)実施。下記

 想定以上に感染が拡がっていたら驚くが、一方、致死率は既知の値よりも下がる。
 スペインで行われた調査で約5%というから、日本も1割未満だろう。5割以上だったら超驚くが、ない。

 もしも6~7の人が感染していた場合、酷く蔓延していたことになるが、一方、多くの人が免疫を「獲得」しているので、それ以上感染が拡がらない、という集団免疫論もある。
  ※ 新型コロナウイルスの場合、6割よりもっと低い割合で収束するとも言われている

 さらには抗体保有者に対して移動などの制限を解除する「免疫パスポート」という考えもある。

 多くの人が罹らないように気をつけている最中、下手すると逆行しかねない論だが、ワクチン開発の動向が不透明な中、ゲームチェンジャーなどと度々とりあげられてきた。

 しかし、そこそこ抑えられている日本においては飛びつくような論ではないだろう。

 そもそも集団免疫「獲得」戦略は、高齢化が進んだ日本では無理。戦略と呼べるほどコントロールできるわけでもない。
 スウェーデンがこの戦略をとったが、うまくいったようには見えない。ストックホルムにおける抗体保有率は7.3とのこと。

 「獲得」していない大多数の国にとって要警戒国になってしまうことも問題。

 追)厚生労働省 抗体保有調査(6月1日-7日実施)の結果は、
   東京約2000人 --- 陽性2人(0.10%)
   大阪約3000人 --- 陽性5人(0.17%)
   宮城約3000人 --- 陽性1人(0.03%)

   抗体保有率は1割未満どころか1%未満。

   市中で蔓延しているのではないかという見方もあったが、かなり低い率。
   抗体がつくられる前の段階で治った人もいるはずだが、それでも感染者は少数だろう。

   感染者はごくごく稀、と解すには実感とずれるが、条件の重なった極めて局所的な範囲で、いわゆるクラスターが発生していたということなのだろう。特に医療機関。

 追)2020年6月以降(ウイルス禍その12以降)の記事は、移転中   

免疫について

 追)下のページに移した。

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