早々に「梅雨明け」したものの実質梅雨状態。おかげで心配していたほどの猛暑続きにはならずに済んでいる。
追)のち九州~関東の梅雨明けは6月下旬から7月下旬に修正された
先日(7月24日)桜島の噴火警戒レベルが最高の5になったが、大噴火というより爆発的噴火の1つということで、特に大きな被害もなく良かった。
桜島は他の活火山と違って噴火しているほうが平常に近いので、多少の爆発的噴火では大きなニュースにならない。それが夜、レベル3から5に上がったので、余程の緊急事態かと思って全島民避難の光景がちらついた。
追)7月27日 レベル5から3に引き下げ
桜島火山史
阿蘇山の次に書いておこうかなと思っていた桜島火山。
1914年の大正大噴火が20世紀以降国内最大規模の噴火ということで度々引き合いに出されるが、
江戸時代の安永大噴火も相当大きかったようです。
火山爆発指数 VEI=4~5。
桜島の山頂部は北から南へ緩く下っていて、最高峰・北岳(御岳)の標高は1117m。
大昔は北岳から噴火していたが、今は南岳から噴火。
南岳の南岳山頂火口と昭和火口が活発。
海上保安庁 海洋情報部(www1.kaiho.mlit.go.jp/) - 海の情報 - 海域火山データベース
から写真を拝借。
桜島火山ハザードマップに過去の4大噴火の溶岩が記されている。
鹿児島市HP(www.city.kagoshima.lg.jp/) - 暮らし … 防災・危機管理 - 8.桜島火山対策に関する情報(火山防災トップシティの推進)のページからダウンロードできる。
過去の4大噴火は、
・ 昭和噴火 [1946] ・・・ 溶岩を流した最後の噴火
昭和火口から昭和溶岩。
・ 大正大噴火 [1914]
大正溶岩は南東と西の山腹から流れた。
南東へ流れた溶岩は瀬戸海峡を埋めて、以降、今に至るまで桜島は半島。
(「桜半島」という呼び名は耳にしない)
西へ流れた溶岩は桜島港周辺の海に到達。
・ 安永大噴火 [1779-1782]
北東沖に新島出現。
大正大噴火を上回る規模。
・ 文明大噴火 [1471-1476]
安永溶岩は北東と南、
文明溶岩は北東と南西
の山腹から流れた。
1946年以降、断続的に噴火しているが、おとなしくなっている間に登山できた時代があったようです。
しかし、1955年の噴火以降、ずっと入山規制。
今は見る山。
南岳山頂火口・昭和火口から半径2km圏立入禁止。
最も近づける所は西側の湯之平展望所。4合目。標高373m。
かつて訪れた時は全く登れない山と思い込んでいたので、近づかなかった。
結局、歩いたのは烏島展望所までの溶岩渚遊歩道。一帯は大正溶岩で埋まるまで海だった。
文明大噴火の前も奈良時代などなど噴火しているが、今回は省略。
※ 気象庁 日本活火山総覧、地質調査総合センター 日本の火山などに掲載されている →
もっと大昔約3万年前に巨大噴火を起こした姶良(あいら)カルデラは、今の鹿児島湾北部で、桜島と関係がある。
桜島は姶良カルデラの南縁。
桜島の地下数kmにマグマが溜まっていて、そこに供給される巨大マグマ溜まりが姶良カルデラの地下10km[以深]にある。
なお、約7000年前(縄文時代)に巨大噴火を起こした鬼界カルデラは大隅諸島の三島周辺。
トカラ列島 - 口永良部島 - 三島 … 桜島 …
の火山列は、日本列島の中でも特に活動が活発。
噴火警戒レベル5について
大きな噴石は中・小規模噴火で到達距離2km、大規模噴火で4kmなので、
※ 富士山ハザードマップ参照
火口から数km離れていれば届かないが、今回、火口から東へ約2.5km飛んでレベル5になった。
島南部の古里、有村が半径3km圏に引っ掛かっているので、周辺地域の避難は妥当。
桜島は過去の大噴火で(山頂火口ではなく)山腹から溶岩が流れて、その跡が島の至る所に残っている。
大噴火の際は速やかに島の外へ避難しないといけない。
一方、対岸の鹿児島市街は安全。
東側の垂水市も一部引っ掛かるが、大半は安全。
※ 垂水市桜島ハザードマップ参照
降灰は避けられないが。
噴火警戒レベル5は2例目。2015年に口永良部島で1度あるだけ。その時は全島民避難。
※ 噴火警戒レベルは2007年に設定された
2020年に大きな噴石が火口から約3km飛んでいて、この時は後日落ちているのを確認した、ということで噴火警戒レベルは変わらなかった(レベル3のまま)。
2.5km前後の飛翔は時たまあるようなので、今回はたまたま見てしまったということか。
5は「何も考えずに避難せよ!」というレベル。
(たまたま「何も考えずに走れ!」(ガンダムX)見てた)
今回のレベル5は大げさに感じるかもしれない。
ただ、レベル判定は客観性に努めているはずで、
気象庁の判定基準によると
同じレベル5でも
・ 『大規模噴火が切迫』
・ 『これまでみられたような噴火(ブルカノ式噴火)の激化』
の2通りあり、
今回該当するのは後者。一部地域(古里、有村)の『島内避難(噴火の激化)』に該当する。3日間様子見て問題なければレベル5から引き下げられる。
前者の大規模噴火の場合、2週間以上様子見てから。
レベル5でイメージするのはたいてい前者(のみ)なので、大げさに感じるのも無理はない。
然らば判定基準を見直せば……とも思うが、
同じ警戒レベルでも島民と島の外の人では捉え方が異なり、
避難対象は主に島民なので、
レベル5であろうと何であろうと警報が島民にとって理解・信頼できるものであり続けることが一番重要だと思う。