H3ロケット まとめ(今回は残念ながら……)

SPACE(宇宙)

 待望の新型ロケット H3 初号機。
 前回(2023年2月17日)は補助ロケットが着火せず、
 今回(3月7日)は第2段エンジンが着火せず、
 残念ながら打上げ失敗。
 成功を願っていた衛星「だいち3号」が失われたのがショック。

ファン!ファン!JAXA! COUNTDOWN H3×ALOS-3(fanfun.jaxa.jp/countdown/h3-alos3/

 以下は打上げ成功前提でまとめておいた記事ですが、次がいつになるのか分からないので、応援兼ねてアップしておきます。
 追)2024年2月17日 打上げ成功

 3月7日 鹿児島県 JAXA種子島宇宙センターの様子

JAXA YouTube打上げ中継の1コマ

 発射台からH3がいなくなっているので飛んだ後。

 途中までは順調に飛んでいた。
 現地で見ていた人は打上げ成功と思ったハズ。
 しかし……。

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2019年-2023年

 こうのとり(HTV)を国際宇宙ステーション ISSへ届け続けたH2B(H-IIB)が、
 2019年9月 8号機
 2020年5月 9号機
で終了。
 この後、2020年度内にH3が飛ぶ予定だったが、
 相次ぐ延期で2年近く経過。

 H2A(H-IIA)が、
 2020年2月 41号機
 2020年7月 42号機
 2020年11月 43号機
 2021年10月 44号機
 2021年12月 45号機
 2023年1月 46号機

 H2Bの成功率100%。
 H2Aの成功率97.8%。失敗は6号機(2003年)のみ。

 イプシロンロケットが、
 2021年11月 5号機
 2022年10月 6号機 打上げ失敗

 昨年(2022年はロケット打上げ0。

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H3

 全長63mの2段式ロケット。
  ※ フェアリング:ロング Lの場合

© JAXA 『H3ロケット試験機1号機CG 飛翔イメージ(ミッションマーク入り)』

 上部から

  •  フェアリング Fairing
  •  第2段 推進剤タンク、エンジン
  •  第1段 推進剤タンク、エンジン
  •  補助ロケットブースター(固体ロケットブースター SRB Solid Rocket Booster)

 最上部のフェアリングに衛星など格納。
 ロング Lとショート Sがあって、Sの場合、H3の全長は57m。

 今回、だいち3号 ALOS-3搭載。
 次回(2号機)、だいち4号 ALOS-4搭載予定。
  追)搭載見送り

 エンジンは化学推進系。Hシリーズは液体ロケットエンジン。
  ※ イプシロンが固体ロケットモーター。鹿児島県内之浦から打上げ

 H3(HIIIと表記しない)
  第2段エンジン LE-5B-3
  第1段エンジン(メインエンジン) LE-9

 H-IIA(H2A) [2001-]、H-IIB(H2B) [2009-2020]
  ※ H2Aは2024年度 50号機まで運用予定

  第2段エンジン LE-5B、LE-5B-2
  第1段エンジン LE-7A

 H-II [1994-1997 / 1999]
  ※ 1998年、1999年失敗

  第2段エンジン LE-5A
  第1段エンジン LE-7

 推進剤は液体水素/液体酸素(燃料:液体水素 LH2、酸化剤:液体酸素 LOX)。

 タービン駆動ポンプ(ターボポンプ)によって推進剤がタンクからエンジンの燃焼室に送り込まれる。

 タービンを駆動するガスも必要で、発生方法は、
 ・ LE-7、LE-7A --- プリバーナー(副燃焼室)がある「2段燃焼サイクル」。
 ・ LE-5A、LE-5B、LE-9 --- 「エキスパンダー・ブリード・サイクル」。燃焼室の外壁(と内壁の間の冷却溝)でガス化。

 LE-9は第2段エンジン LE-5Bの系譜だが、
 第1段エンジンなので、燃焼室を長大化させた大型エキスパンダー・ブリード・サイクル。
 タービンの一部にひびが入るなど開発難航。

 LE-9の推力:1472[kN] = 150[tf](=1472/9.8)
  ※ tfはトン重(重力トン)
 LE-7A(長ノズル)の推力:1098[kN] = 112[tf]
 LE-7の推力:1079[kN] = 110[tf]
 LE-5の推力:102.9[kN] = 10.5[tf]

 なお、H-I [1986-1992]は3段式ロケット。
  第2段エンジン LE-5 「ガス発生器(ガス・ジェネレーター)サイクル」
  第3段は固体ロケットモーター
  第1段はアメリカのデルタロケット

 固体ロケットブースター SRB-3
  リフトオフに使われる固体ロケットモーター。
  高推力。(1本当たり)2158[kN] = 220[tf]。
  『0本、2本、4本の切り換えにより、様々な大きさや軌道の人工衛星の打ち上げに対応します』。

  SRB-A改良型で国産。
  将来、イプシロンS(イプシロン後継)の第1段にも使われる予定。

  前回(2023年2月17日)、このSRB-3に着火しなかった。 

 H3-22Sの22Sは、機体形態 TYPE。
 LE-9:2基、SRB-3:2本、フェアリング:S。
 2号機はH3-30S。
 LE-9:3基、SRB-3:0本、フェアリング:S。

2023年3月7日

 LE-9、SRB-3、LE-5B-3、代わる代わるトラブル発生で、結局初号機は打上げ失敗。
 残念だけど上記エンジン、モーター個々については着火さえすれば問題なく機能しそうにみえた。
 前回も今回も然るべきタイミングで着火しなかった。専門家曰く稀な失敗。H2Aでは起こっていない。
 電気系統、H3で新しく導入した部分が疑われるが、前回着火しなかった問題点については今回短期間で解消されている。
 根本的な問題解消なのか分からないが、H3自体はさほど悲観的にみる必要はないように思う。

 問題は今回失った衛星。
 「だいち3号」を搭載するのに今回の初号機が適切だったのか疑問に思う。
 結果論ではないだろう。
 技術上の問題とは別の問題だと思う。

 信頼性の高いH2A/H2BからH3への移行が円滑に進んでいれば、思い描いていた衛星打上げビジネスも可能だったと思う。
 支援が必要。
 急がば飛ばせで、年内の再挑戦を期待。

 追)第2段エンジン制御の電気系統で短絡(ショート)、過電流の可能性
   絶縁の強化、部品選別などの対策
   2024年2月17日 打上げ成功

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ふシゼン
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