東日本大震災・福島第一原発事故から14年。
前回(2023年9月)から約1年半の間に変わった点などまとめ。
▼ 世界の原子力発電所(2025年) プロット

前回(2023年9月)プロットから
IAEA(国際原子力機関) Power Reactor Information System(PRIS)(pris.iaea.org/PRIS/)のStatus Changes
のみ反映。
マゼンタ色の円が、Operational(運転中)。
緑色の円が、Shutdown(停止)。
---以下、Status Changes
<サイト新設>
- チャイナ 福建省 ショウシュウ(漳州)原発
チャイナの沿岸部は原発が非常に多くなった。まだ他にも建設中
<既存のサイトで新規稼働>
- 新ハンウル(ハヌル)原発 新韓蔚 + 1基(機) ・・・ 既存のハンウル原発 韓蔚の近く
- チャイナ ボウジョウコウ原発 防城港 +1基
- インド カクラパール原発 +1基
- U.A.E. バラカ原発 +1基
- フランス フラマンビル原発 +1基
国内初の新型炉「欧州加圧水型炉 EPR」。大型の加圧水型炉 PWR - アメリカ ボーグル原発 +1基
<既存のサイトでShutdown(停止)>
- タイワン 第三(馬鞍山)原発 -1基
残るもう1基が2025年停止予定。停止するとタイワンは原発0になる - ロシア クルスク原発 -1基
クルスク州は戦場と化しているが稼働中 - ベルギー ドエル原発 -1基
- カナダ ピッカリング原発 -2基
日本の原発
日本の原子力発電所は前回(2023年9月)プロットの後、6ヶ所 12基が稼働状態。
福井県高浜 4、大飯 2、美浜 1、愛媛県伊方 1、佐賀県玄海 2、鹿児島県川内 2
2024年10月、宮城県女川原子力発電所(2号機)再稼働。
大震災以降、東日本で最初の再稼働。
福島第一原発の原子炉と同じ沸騰水型軽水炉 BWR。これまでに再稼働した原子炉はみな加圧水型軽水炉 PWR。
2024年12月、島根原子力発電所(2号機)が再稼働。
原子炉はBWR
計8ヶ所 14基が稼働。
※ 2025年3月時点、美浜原発3号機、高浜原発3号機が定期検査中なので、計7ヶ所 12基
現在の運転状況、新規制基準審査状況などは、原子力規制委員会HP(www.nra.go.jp/)参照。
原子力の規制 - 実用発電用原子炉の安全規制 - 発電所別情報
停止中の原発のうち新規制基準審査合格済は
茨城県東海第2原発と
新潟県柏崎刈羽原発(6号機、7号機)。
再稼働には地元の自治体の同意も必要だが、今のところ同意は得られていない。
もし再稼働すると原発10ヶ所。
停止中の原発のうち審査申請中は
泊、(大間)、東通、志賀、敦賀、浜岡。
敦賀原発(2号機)は昨年(2024年)新規制基準不適合。直下に活断層がある可能性否定できず。
原発事故前は17ヶ所(54基)で多かった。
原発事故の後、原子炉は33基に減って(廃炉21基)、原発サイトは福島第1原発、第2原発がみな廃炉で15ヶ所。
原子炉の運転期間「最長60年(原則40年)」の規定がなくなって、60年超の運転も可能になった。
化石燃料依存脱却、電力需要増加を受けて、電力会社、国(経済産業省など)は地元の同意を得ようと躍起になっているが、能登半島大地震が起こって、想定を上回る規模だった。津波発生、志賀町で震度7、未知の断層、……。
原発が建てられた頃、日本列島震度6超の大地震はほとんどなかった。
新潟~石川~福井では、住民の不安は解消されないだろう。
敦賀原発は再稼働困難。
志賀原発も審査長期化の見通し。
国際情勢が悪化の一途を辿って、有事の際、標的になりかねないという懸念もあるが、
使用済み燃料が貯まり続けて、高レベル放射性廃棄物の行き場がないという問題がある。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に関しては
昨年(2024年)、原発立地自治体の佐賀県玄海町が第一段階「文献調査」に応募した。北海道寿都町、神恵内村に次いで3例目。ただし、科学的特性マップによると鉱物資源(石炭)がある(将来掘削の可能性がある)ということで「好ましくない特性」に区分。
福島の状況
福島第一原発のALPS処理水(トリチウム水)
処理水海洋放出は3月12日で11回目。ほとんど話題にのぼらなくなった。今年度(2024年度)7回放出。来年度も7回。
2051年までに全て放出予定。
日本の水産物輸入を全面停止していたチャイナは、今年中に輸入再開の見込み。
福島第一原発の廃炉作業
使用済み核燃料プールから核燃料の取り出し作業は2号機、1号機がまだ。
2031年までに全て取り出す予定。
最難関の燃料デブリ取り出しは作業延期を繰り返していたが、2024年8月から作業開始。11月に2号機から初めて取り出し成功。0.69[g(グラム)]。
・ 茨城県大洗のJAEAに運ばれて燃料デブリ分析
・ 茨城県東海の研究炉「STACY」運転再開。模擬実験
⇒ 炉内の状況を推定。
2030年代から本格的に取り出し。
燃料デブリは1号機~3号機に推定880[t(トン)]。
完了目標は2051年。
まだ広範に残っている帰還困難区域
区域内に設定された特定復興再生拠点区域は、2023年までに全て避難指示解除(帰還・居住再開)。
残りの区域内に新たに特定帰還居住区域を設定。2029年までに帰還・居住再開を目指す。
福島第一原発を取り囲む中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)
除染作業で取り除かれた放射性廃棄物(汚染土など)を「貯蔵」。
高濃度の放射性廃棄物は2045年3月までに福島県外の最終処分場へ。
最終処分場建設地は未定
関心示す自治体がちらほら
残り大半を占める低濃度(8000[Bq/kg]以下)の汚染土は全国各地の公共事業へ「再生利用」する方針。
全体(約1400万m3)の約4分の3を全国各地へ
環境省は「除染土壌」と呼んでいる
新宿御苑と埼玉県所沢の環境調査研修所で実証事業。科学的に「安全」
反対の声が多い
理解せよ?