原子力発電所のプロット
世界の原子力発電所(2023年) プロット →
※ マゼンタ色の円は、Operational(運転中)
緑色の円は、Shutdown(停止)
日本の原子力発電所のSuspended Operation(一時停止中)は、黄色の円に変えた
(キャッシュが残っているとマゼンタ色のまま)
データ元: GeoNuclearData(github.com/cristianst85/GeoNuclearData) 0.17.16(2023年8月)
データ大元:IAEA(国際原子力機関) Power Reactor Information System(PRIS)(pris.iaea.org/PRIS/)
2022年3月から変わった点は、
若干Capacity(出力、容量)が変わったいくつかの原発を除くと
以下のとおり。
<既存のサイトで新規稼動>
- 新ハンウル(ハヌル)原発 新韓蔚 + 1基(機) ・・・ 既存のハンウル原発 韓蔚の近く
- チャイナ コウエンガ原発 紅沿河 +1基
- チャイナ フクセイ原発 福清 +1基
- チャイナ ボウジョウコウ 防城港 +1基
- パキスタン カラチ原発 +1基
- U.A.E. バラカ原発 +1基
- フィンランド オルキルオト原発 +1基
- ベラルーシ アストラベツ原発 +1基
- スロバキア モホブツェ原発 +1基
- アメリカ ボーグル原発 +1基
<既存のサイトでShutdown(停止)>
- イギリス ヒンクリー・ポイント原発 -2基、稼動0
ただし、新しい原子炉建設中 - ベルギー ドエル原発 -1基
- ベルギー ティアンジュ原発 -1基
<サイト閉鎖>
- タイワン 第二(國聖)原発 ・・・ 2023年3月運転終了
- ドイツ ブロックドルフ原発、グローンデ原発、グントレミンゲン原発 ・・・ 2021年末運転終了
- ドイツ エムスラント原発、ネッカーベストハイム原発、イザール原発 ・・・ 2023年4月運転終了
ドイツ最後の原子力発電所3ヶ所 - アメリカ パリセーズ原発
ドイツは原発0になった。
タイワンは南端にある第三(馬鞍山)原発1ヶ所のみ稼動中。
※ 元データの位置が第四(龍門)原発(凍結中)の位置になっていたので修正。第四は黄色の円。
将来、全廃予定。一時は2025年までとしていたが、期限明記はやめている。
将来新たに稼動予定
バングラデシュ、トルコ、エジプト
トルコは2023年2月に大地震があったが、稼動予定。ロシアが建設に関わっている。
日本の原子力発電所は前回(2021年3月)プロット時、
高浜、大飯、伊方、玄海、川内の5ヶ所 9基
が再稼動していて、その後、6月に美浜が再稼動。
現在、西日本の6ヶ所 10基が稼動中。
※ 前回から美浜 +1、高浜 +1、大飯 -1
追)9月、高浜2号機再稼動(+1)。3号機が定期検査(2024年1月再稼動予定)。上の地図は運転中4基に変更した。
2024年、女川、島根が再稼動予定。
現在の運転状況、新規制基準審査状況などは、原子力規制委員会HP(www.nra.go.jp/)参照。
原子力の規制 - 実用発電用原子炉の安全規制 - 発電所別情報
トリチウム水など -最近気になる動向-
トリチウムについては2年以上前にまとめた。
同じことを繰り返し述べるつもりはないが、
・ 「安心・安全」と科学的安全は同じではないので議論は平行線になる。
・ 仕方なく海に流すことになった。
安全基準を満たしていて「科学的に安全」だが、
地元の漁業・水産業者が反対するのは当然。
一般の人がどのように捉えるかは区々(まちまち)。
低濃度の汚染土の再生利用も似たような問題で、当然反対する人はいる。いや、反対するほうが自然だろう。
処理水か汚染水か呼び方1つで世間に与えるイメージが変わるのは確かだが、
安全アピールしすぎるのも不自然になる。
10年以上にわたってタンクに貯め続けてきたのだから。
魚介類食べてオイシイって、そりゃそうだ。
仮に放射性物質多く含んでいても分からないだろう。
しばらく経ってから別の理由で体調悪化させたら余計風評被害になりかねない。
今はもう(国内では)福島産の水産物・農産物は敬遠されていないと思うので、
ズレたパフォーマンスは必要ない。
「安心して下さい、隠しませんよ!」
信用が大事。
信用があれば、安全性の高い新しい原子炉の開発も堂々と進められる。
※ 高温ガス炉 ・・・ 2021年研究炉(茨城県大洗町)再稼動
小型原子炉(小型モジュラー原子炉 SMR)
トリチウム水の測定結果などは、
原子力規制委員会 放射線モニタリング情報( radioactivity.nra.go.jp/)
にて公開されている。
先日発表された福島大学などの研究報告によると
トリチウムは海産生物へ蓄積しない。
(放射性セシウムは蓄積する。)
※ 福島大学 環境放射能研究所(www.ier.fukushima-u.ac.jp/)
トリチウム水は他の国内・海外の原子力施設からも放出されている。
上記報告にある青森県六ヶ所村の再処理工場のアクティブ試験(試運転)も気になるでせう。
福島からの放出は抑制的で、
IAEAも監視している。
本来魚介類の海外輸出に固執しなければ、ほぼ国内の問題だが、
チャイナが激しく反対して、日本の水産物輸入を全面停止した。
いくつか理由が推測されているが、太平洋の島国(タイワン含む)が同調して共に反対してくれることを期待していたのかなとも思う。
処理水放出は30年続けるので、単純に考えると関係改善は2050年代。
しかし、チャイナの反対は別の次元として、
・ 将来、使用済み燃料の再処理工場(青森県六ヶ所村)が稼動した場合、どうするのか
※ 除去技術の進展がない場合、福島から30年かけて放出するトリチウム総量(約860兆Bq)よりも多量のトリチウムを放出し続けることになる
アクティブ試験(2006年度-2008年度)では2000兆Bq超放出している
・ 再処理工場の先行きが不透明、どうするのか
・ (原子力施設のある)東通、むつ、大間から程近い津軽海峡は国際海峡のままで良いのか
などの疑問・不安がある。
最近気になる動向は---
・ 原発事故の後(2012年)に定められた原子炉の運転期間「最長60年(原則40年)」が、法改正によって、さらに延長できるようになった。
より安全な次世代原子炉ができれば良いが、
長期停止している発電所を思い切って廃止する判断も必要ではなかろうか。
原発事故前の日本の17ヶ所(50基超)は多かった。
多いと対応が杜撰(ずさん)になったり、いろいろ問題が出てくる。
今後、審査中の原発が次々と再稼動していくと10ヶ所超になり、ブレーキがかからなくなっていく。法改正はその兆候。
ちなみに発電所10ヶ所超の国は、アメリカ、フランス、チャイナ、ロシア。
日本は昔から自然災害の多い国だが、原発事故前より国際情勢が悪化している点も気になる。有事になれば日本の原子力施設もザポリージャ原発(ウクライナ)のようになりかねない。
また、使用済み燃料が貯まり続けて、各電力会社は「中間貯蔵」施設を確保する必要に迫られている。
※ 青森県むつ市の施設は東京電力、日本原子力発電
・ 山口県上関で、「中間貯蔵」施設建設の調査(中国電力、関西電力)受け入れ
上関は原発自体の計画も中止になっていない。
もめている。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場の問題もある。
2020年に北海道の寿都町と神恵内村が第一段階「文献調査」に応募した。
・ 長崎県対馬で、「文献調査」受け入れの動きがある
追)9月27日、応募しないと表明
原子力のみならず、日本各地、山や海が風車だらけ、ソーラーパネルだらけになるにつれて、反対の声が目立ってきている。ブレーキがかからなくなっていく。
風力はクリーンか?
原発事故前よりも問題山積のように見えるが、
行政は安全・保全の側に立っているだろうか?