日本の原子力発電所
前回のプロットのうち日本の原子力発電所について半径10km、30km、50kmの同心円でプロットしてみた。
日本の原子力発電所(2021年) プロット →
全て廃炉になった発電所は、福島第一原子力発電所、もんじゅ(福井県敦賀市)のみプロット(緑色の円)。
帰還困難区域の一部(飯舘村)は、福島第一原発から30kmを超えている。
カンコクの4ヶ所(6ヶ所だが「新○○」の2ヶ所は重なっている)とタイワンの2ヶ所もプロット。対馬、与那国島から近い。
青色の円は青森県大間と山口県上関。
橙色の円は青森県六ヶ所村 再処理工場、むつ市 中間貯蔵施設、茨城県大洗町 研究施設。
15ヶ所 33基 3323万5000kW。
※ ネット値は31682MW(3168万2000kW)
前回のプロットに用いたGeoNuclearDataデータのCapacity(出力、容量)はネット Net。
電力会社のHP等に表示されている値よりも小さい。
グロス Grossから発電所内で使用する電力分を差し引いた値がネット値。
以下、kWはグロス値。
2011年の大震災以降、再稼動した発電所
5ヶ所が原子力規制委員会(www.nsr.go.jp/)の新規制基準をクリアして再稼動。
追)www.nsr.go.jp/からwww.nra.go.jp/へ変更
いずれもPWR Pressurized Water Reactor 加圧水型軽水炉。
廃炉になった福島第一、第二原発の原子炉は、BWR Boiling Water Reactor 沸騰水型軽水炉。
日本の原子炉33基はPWR、BWRのどちらか。
燃料 ⇒ 熱(熱湯、蒸気) ⇒ 蒸気タービン ⇒ 発電機
の過程のうち熱の取り出し方が異なる。
BWRは(燃料[棒]が入っている)圧力容器で発生した蒸気を利用。
PWRは圧力容器で高温になった熱湯を加圧器で高圧にして蒸気発生器(熱交換器)へ送る方式。
再稼動していない他の発電所は黄色の円でプロット。
福井県高浜町 関西電力 高浜原子力発電所 3号機、4号機 174万kW
プルサーマル発電(MOX燃料使用)
福井県おおい町 関西電力 大飯原子力発電所 3、4 236万kW
愛媛県伊方町 四国電力 伊方原子力発電所 3 89万kW
プルサーマル発電
佐賀県玄海町 九州電力 玄海原子力発電所 3、4 236万kW
3号機はプルサーマル発電
鹿児島県薩摩川内市 九州電力 川内原子力発電所 1、2 178万kW
以上、5ヶ所 9基 913万kW。
再稼動していないが、許可
4ヶ所+高浜原発 7基。再稼動には地元自治体の同意も必要。
宮城県女川町 東北電力 女川原子力発電所 2 82万5000kW BWR
3号機は未申請。
大震災で津波に遭うが大事には至らず。
茨城県東海村 日本原子力発電 東海第二発電所 1 110万kW BWR
大震災で津波に遭うが大事には至らず。
東海村は日本の原子力発祥の地。発電所以外にも原子力関連施設がある。
東海第一原発(廃炉)は、日本初の商用炉。1966年、運転開始。
新潟県柏崎市・刈羽村 東京電力 柏崎刈羽原子力発電所 6、7 271万6000kW BWR
1-7号機の合計出力は821万2000kWで世界最大(だった)。
※ ネット値は7965MW(796万5000kW)
1-5号機は未申請。
テロ対策の不備で審査やり直しの可能性が出てきた。
高浜原発 1、2 165万2000kW PWR
3、4号機は既に稼動。
福井県美浜町 関西電力 美浜原子力発電所 3 82万6000kW PWR
みな再稼動すると9ヶ所 16基 1624万9000kW。
追)美浜は2021年6月から再稼動している
審査中
北海道泊村 北海道電力 泊原子力発電所 1-3 207万kW PWR
青森県東通村 東北電力 東通原子力発電所 1 110万kW BWR
東北電力とは別に東京電力の東通原発も建設中(中断)。
石川県志賀町 北陸電力 志賀原子力発電所 2 135万8000kW BWR
1号機は未申請。
福井県敦賀市 日本原子力発電 敦賀発電所 2 116万kW PWR
静岡県御前崎市 中部電力 浜岡原子力発電所 3、4 223万7000kW BWR
5号機は未申請。
大震災の時、停めてくれたのは良かった。
来る来ると言われ続けて未だ来ない南海トラフ巨大地震。来ないでほしいが、いつか来る。
島根県松江市 中国電力 島根原子力発電所 2 82万kW BWR
新設(未稼働)の3号機も審査中。
仮にみな再稼動すると15ヶ所 26基。
※ 8基が未申請。
大震災の前から建設中(未完成)のJパワー(電源開発) 青森県大間も審査中。2020年代後半、運転開始予定。
プルサーマル発電
2011年時点の17ヶ所 54基と比べて原子炉は半数以下に抑えられそう。
だが、発電所の数はたいして変わらないかもしれない。
山口県上関は計画中止になっていない。
新規制基準は厳格化、地元自治体の同意も必要。
再稼動しても裁判で停まったり動いたり。
技術上の問題ならば、安全性の高い原子炉に更新していくという道もあるが、日本は災害の多い国。リスク0は無理。
発電所個々の安全性とは別に大枠の問題がある。
大震災の後の報告書に目を通したが、日本全国北から南まで津々浦々50基超造ったことについて言及がなかった。
日本全国10ヶ所超えて賛成派反対派分かれて延々揉め続けるのは不健全。
公共のため、しかし、公共の名を借りて公益より私益に走る人がいると余計ややこしくなる。
起こってはいけない大事故が起こって福島の一部は10年経っても帰還困難。
発生した汚染水、汚染土の処理巡ってもめる。
現在、発電所10ヶ所超の国は、アメリカ、フランス、チャイナ、ロシア。
みな日本といろいろ違う国々。
「核のごみ」も増えていく。中間貯蔵施設、処分場巡ってもめる。
危機対応できる従事者が次々湧いてくるわけではない。
原子力は、大変有益だが使い方を誤ると……、という古来人間好みの力(パワー)。
原子力の平和利用はブレイクスルー。高度な文明の証。
だが、学力低下、技術力低下で不釣合になる。
さらに悪いのは隠蔽、改竄、虚偽、不誠実、無神経、無責任、……。
原子力自体は良いも悪いもない。