3月16日、23:30過ぎに地震。
寝ていたが、揺れが長かった。
来るべき時が来てしまったかと思ったが、
震源は宮城・福島沖だった。
震度6強。
思い返せば昨年も2月に同じような震度6強の地震が起こった。
過去1年間の原子力
さて、原子力に関する話。
前回、世界の原子力発電所(原発)をプロットした。
2021年3月から変わった点は、
若干Capacity(出力、容量)が変わったいくつかの原発を除くと
以下のとおり。
<既存のサイトで新規稼動>
- U.A.E. バラカ原発 +1基(機)
- チャイナ コウエンガ原発 紅沿河 +1基
- チャイナ デンワン原発 田湾 +1基
<既存のサイトでShutdown(停止)>
- タイワン 第二(國聖)原発 -1基
- ロシア クルスク原発 -1基
※ 昨年末に停止したのでプロットに使用したGeoNuclearDataデータに反映されていなかった。地図へのプロットには反映させた
パキスタン カラチ原発 1基が停止、新たに1基が新規稼動。
<サイト閉鎖>
- アメリカ ニュー・ヨーク近郊 インディアン・ポイント原発
- イギリス ダンジネス原発
- イギリス ハンターストン原発
※ 使用したデータに反映されていたのは1基停止。もう1基停止で閉鎖になっていた。地図には反映させた
<サイト新設>
- チャイナ シーダオ湾原発 石島湾
チャイナの新しい原発は高温ガス炉。商用炉ではなく実証炉。
現在、日本の商用原子炉はみな軽水炉。冷却材が水。
※ 冷却材:炉心を冷却する一方、炉心から熱を得て蒸気発生に使われる材
ガス炉は、冷却材がガス。
一番最初の東海第一原発(茨城県東海村)がガス炉だった。
ガスは炭酸ガス(二酸化炭素)、減速材は黒鉛。
※ 減速材:核分裂で生じる中性子を減速させて核分裂を起こしやすくする材。黒鉛の他、水、重水が使われている
水炉がWR Water Reactor。軽水炉と重水炉がある。
ガス炉がGR Gas Reactor。
高温ガス炉はHTGR High Temperature GR。
従来のガス炉や軽水炉より高温の熱を取り出せるので、「高温」ガス炉。
ガスはヘリウムガス、減速材は黒鉛。
日本も早くから茨城県大洗で研究中。
日本原子力研究開発機構 JAEAの高温工学試験研究炉 HTTR HT engineering Test Reactor。
2011年から長らく止まったままだったが、昨年(2021年)再稼動。
ヘリウムは化学的に安定した(反応性が低い)ガスで、熱伝導率も高い。電源喪失してガスの循環が止まっても自然に冷却され、安全性が高い、とのこと。現在、安全性実証試験中。
日本の高温ガス炉は1000℃近い高熱を取り出せる、ということで将来、水から水素を製造する用途でも使う計画。
※ 軽水炉で取り出している熱は300℃前後
アメリカが次世代原子炉の開発に着手し、今年初め、日本が参画するというニュースもあった。
福井県敦賀の高速増殖炉「もんじゅ」などで培った技術の共有(供与)。
高速増殖炉は、
中性子を減速させずに(減速材無し。高速のまま)核分裂を持続させ、かつ、
“燃えない”ウラン(ウラン238)からプルトニウム燃料を生産できる原子炉。
夢か悪夢か、「もんじゅ」は冷却材の液体ナトリウム(反応性が高い)の扱いに苦戦して、2016年に廃炉が決まった。
ワイオミング州のケマーというところ(綴りを見るとKemmerer ケンメラー)に高速炉が建設される計画。
2011年の福島第一原発事故の後、国内海外、脱原発に傾いたが、近年は
「脱炭素」圧力に
原油価格高騰
などで、次世代原子炉の話題が増えてきている。
原発のみならず大規模太陽光(メガソーラー)発電も風力発電もサイトが次々増えていくと「害」も増えていくので、
現時点でコレが正解と言えるものはなさそうだが、
「脱炭素」程々にして
再稼動させる原発サイトを(数えられる程度に)抑えて
核のごみを抑えつつ
より安全性の高い原子炉に更新していくのが
穏健かつ現実的ではなかろうか---。
ウクライナの原子力
チェルノブイリは、ウクライナのキーウ(キエフ)北方、ベラルーシ国境近くに位置する。原発の所在地はプリピャチ。
追)2022年からウクライナ語読みのチョルノービリが使われるようになった
チェルノブイリ原発事故は1986年、ソビエト連邦時代に起こった。
現在のウクライナ、ベラルーシ、ロシアなどヨーロッパの広範囲に放射性物質がばら撒かれた。
特に原発の北のベラルーシで深刻な被害。
土壌汚染(セシウム137汚染)の地図は、例えば
UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会) - Chernobyl(www.unscear.org/unscear/en/chernobyl.html)のMaps
※ セシウム137 137Csの半減期は30年
Fukushima(福島)のページもある
チェルノブイリ原発事故は4基あるうちの1基(4号機)だけの事故だが、
- 安全装置を解除して試験運転していたら異常が発生、制御できなくなって爆発
- 爆発で圧力容器が壊れたうえ、もともと格納容器がなかった
- 「減速材が黒鉛の軽水炉」で、高温の黒鉛が飛び散って10日間火災。その間大量の放射性物質が空高く放出され続けた
遠く離れている北欧なども被害。
- 事故を隠そうとしたがバレた
- 事故後も残りの3基稼動(2000年に最後の1基運転終了、閉鎖)
4号機はコンクリートで封じ込め(石棺シェルター)。
2016年、さらに鋼鉄製シェルターで覆われた。100年間耐えられる、とのこと。
なお、チェルノブイリと同じ型の「減速材が黒鉛の軽水炉」(GeoNuclearDataデータのReactorModelがRBMK)は、先述のロシア クルスク原発の他、スモレンスク原発、レニングラード原発にて稼動中。
10年以内に運転終了するらしい。
参考
日本原子力産業協会 JAIF - 原子力産業新聞(www.jaif.or.jp/journal/)
JAIF - ウクライナの原子力発電所の状況(www.jaif.or.jp/tag/ukraineinfo) ・・・ リンク切れ
ウクライナには稼動中の原発が4ヶ所ある。
ザポリージャ、南ウクライナ、フメリニツキー、リウネ(ロブノ)。
チェルノブイリやザポリージャ原発のまわりでドンパチ行われているの見ると陰鬱な気分にさせられる。
南ウクライナ原発は、手前で進軍が止まったままだが、
ロシアのやること言うこと破茶滅茶。
北海道の東、北、
日本海側の原発、
国際海峡のままの津軽海峡、
原発および関連施設がある青森、
いつ見舞われるか分からない大地震、……
イカンですね。