1月28日夜 SLIM起きました --- 運用再開。
充電していれば復活できる。
ということで、もう1回月に関するページ。
▼ SLIM搭載マルチバンド分光カメラ MBCによる月面撮影画像
1月20日着陸時撮影、1月25日公表の画像。
復活して続きが実施されて、エクストラサクセス。
犬の名前が付けられた石(岩)を1つ1つMBCで撮影して組成分析。
これらは月面にありふれた石(岩)ではなく、カンラン石に富んでいる岩(とみられる)。
月も地球同様、コア(核)、マントル、地殻がある。
地球のマントルの代表がカンラン岩。高密度・硬い岩。
漢字で書くと難しい。橄欖。
月のマントルもカンラン石に富んでいる。
※ 岩の成分が石(鉱物)
地球の大陸地殻の代表が花崗岩、海洋地殻が玄武岩
月の高地地殻が斜長岩、「海」地殻が玄武岩
JAXAの月周回衛星「かぐや(SELENE)」 [2007-2009]の観測で、月表面のカンラン石の分布領域が確認されていて、
下の地図の緑色部分がカンラン石に富む領域で、マントル起源。
詳しくは2010年のJAXAの大成果「~月内部からのカンラン石の全球表面分布とその起源」(www.jaxa.jp/press/2010/07/20100705_kaguya_j.html)。
月の表側の「海」の縁(ミドリではなくフチ)にマントル起源のカンラン石が分布していることが明らかになった。
月面には多くのクレーターがあるが、「海」は巨大クレーター(巨大衝突盆地)。地殻が薄い。
巨大天体の衝突によって飛び散ったマントルの石が縁(フチ)部分に露出している。
「海」の中央部は、溶融して再び沈んだり、玄武岩質溶岩で覆われたりして、カンラン石は露出していない、とのこと。
今回SLIMが着陸したシオリ・クレーターも「海」の縁。上の地図の「神酒の海」の縁の緑色部分。
月面においてごく限られた領域。平らではなく15°くらいの傾斜面。前例ないけど「降りたいところ」だった。
「降りたいところ」に降りて月面調査もできたので、
めでたしめでたし、で100点。
2月1日現地日没で、SLIM「休眠」。
安らかに眠れる。
月の起源
アポロ計画で宇宙飛行士が持ち帰った「月の石」は地球の石(岩)と似ていたが、
異なる点もあって、
月の起源については未決着のままだった。
今は巨大衝突説(ジャイアント・インパクト説)が有力視されているが、
従来の3つの説が入り混じっている感じで結構難しい。
3つの説とは
・ 分裂説(親子説)
・ 捕獲説(他人説)
・ 集積説(兄弟説)
地球からの分裂は、地球重力から脱するのに難があり、
近傍天体の捕獲は、地球周回軌道に留まるのに難がある。
地球同様月も微惑星の衝突・合体で同時に生まれたという集積説が3つの説中力学的に最も良さそうだが、月の岩石と地球の岩石の違いをうまく説明できない。
岩石の化学組成は似ているが成分の比率が違う。月は地球より密度がかなり低い、などなど。
うまく説明すべく1980年代に現れた説が巨大衝突説(ジャイアント・インパクト説)。
約45億年前、成長した地球に火星くらいの天体が衝突して、衝突天体のマントルと地球から飛び出たマントルが月の元になった。衝突天体のコア(核)は地球に落下---。
この説を初めて知った時は、月の元は確か衝突天体由来のマントルが主体だった。今は地球由来のマントルが主体の可能性もある、だったかな。
踏み入ると結構難しい。
探査は続く。
将来
- 無人探査
月資源探査
ちなみに月も地震がある(月震)。地震波を調べて月の内部を知ることができる - 有人探査
月面から天体観測 - 工場など施設建設
(月博物館 むーじあむ、SORA-Q展示) - 都市建設
(SLIM着陸地点観光ツアー)
近い将来、日本は月の極域や火星の衛星フォボスを目指す。
・ 月極域探査ミッション LUPEX(www.exploration.jaxa.jp/program/lunarpolar/)
インドと共同
・ 火星衛星探査計画 MMX(www.mmx.jaxa.jp)
火星有人探査を目指す場合、
地球からダイレクトよりも月のような中継地点があったほうが断然良い。
2024年、宇宙関連イベントが続く。
・ JAXA H3ロケット(試験機2号機) 2月15日打上げ予定
追)2月17日打上げ成功
・ 和歌山県串本町から民間のスペースワン カイロス 初号機 3月9日打上げ予定
追)3月13日残念ながら……