近頃、スペースX SpaceXのスターリンク Starlink(www.starlink.com/)のニュースが目につく。
- 昨年(2021年)、チャイナの宇宙ステーションとスターリンク衛星がニアミス
- 今年2月に打上げた衛星約40機(基)が地磁気嵐で大気圏に再突入、喪失
- 戦火のウクライナでも使えるようになった
スペースXは火星移住を目指している民間企業。
ファルコン9などのロケットを開発して、
2020年から(アメリカでスペースシャトル以来となる)有人宇宙船クルー・ドラゴンを打上げている。
衛星ブロードバンドについて
インターネット回線は、
- 光ケーブル(光ファイバー)
- 電話線 xDSL(ADSL、)
- ケーブルTV
- (電力線 PLC)
- 無線(電波)
があって、今日のブロードバンドは光回線と無線に絞られつつあるが、無線のうち衛星利用のインターネットがここ数年で大きな転機を迎えている。
インターネット衛星は早くからイリジウム Iridiumがあった(今もある)が、一般向けではなく、
光ファイバーのほうが低費用(低コスト)で普及し続けてきた。
ただ、山間部や離島など隅々まで光ファイバーでつなげようとすると高費用になり、海上含め地球上隅々までつなげようとすると衛星頼みになる。
ロケットの再使用など衛星打上げ費用が低くなって、
民間企業が宇宙分野へ参入して、
2019年からブロードバンド・インターネット用の衛星が次々と打上げられるようになった。
衛星コンステレーション、メガ・コンステレーション、宇宙インターネットなどと呼ばれているが、(静止衛星ではなく)低軌道周回衛星による衛星通信網。
※ コンステレーション Constellation:星座、群れ
低軌道 LEO Low Earth Orbit
スターリンクはそのうちの1つ。
日本での使用はまだだが、今年開始予定。
スターリンクは、
2019年5月の衛星60機打上げ以降、ハイペースでドンドン打上げ中。
2022年3月現在およそ2000機。
最終的に1万2000機とされていたが、
さらに3万機追加で4万2000機になる計画。
うへーと思ってしまう数だが、
スターリンクだけではないのが何とも……。
これから打上げ予定の
AST & Scienceのスペースモバイル SpaceMobileも同様の衛星ブロードバンド。楽天 Rakutenが出資。
地球の周りは急速に衛星だらけになっていく。
※ スターリンクの高度:今のところ540-570km
宇宙ステーション ISSの高度:約400km
イリジウム衛星の高度:約780km
増え続ける宇宙ごみ(スペース・デブリ)を取り除こうとしている最中、逆行するような流れだが、
運用終了後は大気圏に落下して燃え尽きる、とのこと。
衝突回避対策も講じられている。
とはいえ衝突リスクの確率は高くなっていく。
意図的な衛星破壊などなど平和ではない空間になっていく可能性も十二分にある。
地球からの天文観測の邪魔、という問題もある。
より詳細は、
- 宙畑 SORABATAKE - SpaceXが世界中にインターネットを届けるStarlink(スターリンク)とは!?(sorabatake.jp/19526/)
- 東京エレクトロン TEL(www.tel.co.jp/) - TELESCOPE magazine - (テーマ宇宙) - 2021.09.01 人工衛星で地球を覆い、全世界にブロードバンドを!
いつでもどこでも
ワンウェブ OneWebという民間企業も次々と衛星を打上げているが、
※ 2022年3月現在400機超。目下2番手
先日ロシアから打上げ拒否された。
ロスコスモス総裁もアレだから今後の有人宇宙飛行でソユーズを使うのは難しそう。
ISSからロシアが離れ(チャイナへ移り)、
世界の国々が協力関係ではなく対立関係のまま宇宙へ拡がっていく---。
今のままだと暗い未来。
いつでもどこでもつながる世界。
今年1月のトンガ大噴火では海底ケーブルが断線して音信不通になってしまったが、衛星ならばつながる。
2011年の東日本大震災の時は、JAXA/NICTの超高速インターネット衛星「きずな」が役立った。
※ 「きずな」は静止衛星。2008年打上げ、2019年運用終了
アンテナさえ使えれば、戦争中でも戦場でも。
※ 空爆の標的になってしまう恐れもある
今、ウクライナを支えているのは情報。
ロシアを蝕み続けているのは偽情報。
某国にて情報統制が崩れる前に
ロシアにて情報統制が拡がってしまったが、
統制下でも一応つながる。
世界を包むスターリンク。
スターリンではありません。念のため。