【小笠原エリア】 火山列島(硫黄列島)

JAPAN(日本)

 ここでいう火山列島は日本列島ではなく小笠原の硫黄列島。
 今年(2021年8月、火山列島の福徳岡ノ場に新島出現。

 新しい島と化した西之島も昨年(2020年8月以来の噴火。

 噴火していなくてもなかなか行けない島々。
 噴火すると映像・画像が見られる。

 位置関係は、東経142° あたり北から聟島、父島、母島。父島の西、東経141°、北緯27°近くが西之島。その南方が火山列島(硫黄列島)。父島から約300km。

 久々にGMTで描画
 図の東の暗黒部は水深5000m以深の深海で、伊豆・小笠原海溝。フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界。
 父島、母島は現在活火山ではないが、東経141° あたり西之島の南北は活火山列。
 西之島の北が土曜海山、図の外の遥か北方に鳥島、青ヶ島、八丈島。
 西之島の南は海形海山、海徳海山、北硫黄島、硫黄島、南硫黄島。
 図の外の遥か南方にマリアナ諸島。現在無人の北マリアナ北部諸島も活発な火山島。

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北福徳カルデラ

南硫黄島

 最高所は標高916m。伊豆・小笠原諸島最高峰。
 原生自然の無人島で上陸不可。
 過去に漂着などの記録はある。
 1982年、2007年、2017年に調査が行われている。

 かつて沖ノ鳥島に次いで南にある島と思っていたが、西表島の南の波照間島のほうが南だった。波照間島、仲ノ神島、新城島、黒島、南硫黄島の順。

福徳岡ノ場

 海底火山で、通常、地図に載っていないので、名前聞いても位置が分からないかもしれない。
 南硫黄島の北。
 海上保安庁 海洋情報部(www1.kaiho.mlit.go.jp/) - 海の情報 - 海域火山データベース
から直近(2021年9月12日)の写真を拝借。写真の他、地形図などがある。

海上保安庁 海洋情報部より
左が南硫黄島、右の新島は一部(東側)水没

 北福徳カルデラの中央火口丘が福徳岡ノ場。

海上保安庁 海洋情報部より

 海上における噴火確認は2010年以来。

 新島出現の記録は過去3度。

  •  1986年 ・・・ 伊豆大島三原山噴火の年
  •  1914年 ・・・ 桜島大噴火の年
     1916年水没確認
  •  1904年-1905年

 明治と大正の新島は高さ100m以上に達し、「新硫黄島」と呼ばれていたようだが、水没。
 今回も存続の可能性は低いとみられている。
  追)2022年水没。

 追)軽石漂流

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硫黄島

 硫黄島(いおうとう)は無人島ではなく基地の島。
 太平洋戦争日米激戦の地。両軍合わせて3人近く戦没。

 関係者以外行けない島だが、戦前は1000人以上暮らしていた。

 南北の硫黄島と違って割と平坦。
 南端に摺鉢山がある。標高170m。

 島中あちこち噴気が上がっている(らしい)。

 かつて父島が小笠原最大の島と思っていたが、今は硫黄島が最大。決して勘違いではなく、硫黄島が年々隆起して父島を追い抜いた。

北硫黄島

 南硫黄島ほどではないが、見るからに険しそうな島。最高所約800m。
 戦前は有人島。石野村と西村があった。

海上保安庁 海洋情報部より 2012年 東側

 手前のハゲて白く見える谷が渋川で、河口の左(南)が石野村跡のハズ。

考古

 昔、たまたま図書館で見つけた『小笠原諸島他遺跡分布調査報告書 / 東京都教育庁 / 1992』に北硫黄島の調査報告が収録されていて、
 大昔、マリアナ諸島から小笠原の島々を北上した人々がいたかどうか興味を抱いた。

 北硫黄島石野村跡の石野遺跡が小笠原を代表する遺跡で、マリアナ系文化か日本文化か今後の分析が必要、と締めくくられていたが、報告書の中の『マリアナ考古学から見た小笠原 -遺跡立地を中心に- / 印東道子』によれば、

  •  石野遺跡で見つかった石斧はマリアナ諸島のラッテ期(紀元800年頃以降)のものに酷似している。
  •  北マリアナ北部諸島から漂着した可能性が考えられる。一方、父島・母島に居住の痕跡がない。

ということだった。
 その後、2000年前の可能性、という記事を見かけたりもしたが、紀元前まで遡る遺跡ではなさそう。

 伊豆・小笠原諸島全体を見渡すと八丈島に縄文時代前期の遺跡がある。その北方の神津島に産する旧石器時代の黒曜石がかなり謎めいているが、一応、起点は神津島。
 一方、マリアナ諸島最古の遺跡は約3600年前。太平洋の島々に人々が拡がり始めた頃の遺跡。

 ということで、大昔、少なくとも縄文時代以前に小笠原の島々を北上した人々がいたとは考えにくい。


 近年、「おがさわら丸 硫黄島3島クルーズ」(上陸なし)が実施されている。

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ふシゼン
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