毎年毎年豪雨で甚大な被害が出ている。平穏な年がない。
2011年以降の大水害・土砂災害をざっと並べてみると
- 2018年7月 西日本豪雨
- 2017年7月 九州北部豪雨
- 2016年8月 <台風10号> 岩手、北海道で被害
- 2015年9月 関東・東北豪雨
- 2014年8月 広島豪雨・土砂災害
- 2013年10月 伊豆大島土砂災害 <台風26号>
- 2012年7月 九州北部豪雨
- 2011年9月 紀伊半島大水害 <台風12号>
といった具合で、いずれも何かしら記憶に残っている。
上記の他にも「記録的」と呼ばれる豪雨は起こっている。
2010年以前も度々起こっているが、「記録的」が「記録的」ではなくなってしまうかもしれない。
今年も雲行きが怪しくなってきた。ざっとみただけでも7月の西日本で大水害が多いという印象を強く受けるので心配。
線状降水帯
そんな中しばしば耳にするのが線状降水帯。
ゲリラ豪雨とか爆弾低気圧とか「ん?」と思う用語を安易に使うのは憚(はばか)られるが、線状降水帯に関しては
(新用語解説) 線状降水帯 / 津口裕茂 / 2016 / 日本気象学会 『天気』
で詳しく説明されており、気を使う必要はなさそう。
※ 『天気』は日本気象学会のHP(www.metsoc.jp/)から閲覧できる。
2014年の広島豪雨以降、2015年の関東・東北豪雨、一昨年の九州北部豪雨、昨年の西日本豪雨、とことあるごとに線状降水帯、線状降水帯、……と言うものだから無関心ではいられない。
積乱雲が次々と生まれて線状に並んだ雨域が線状降水帯で、現象、用語ともに昔からあり、台風を除く集中豪雨のうち約2/3が、この線状降水帯由来である、という。
ほぼ同じ場所で長時間にわたって豪雨が続く。
1ヶ月2ヶ月の降水量が1日で降る。
ダムの水がなくなりそうだったのに1日たらずで満水になる---。
溢れるか、放流か---。
台風も危険だが、1日2日……1週間豪雨が続いたら、と考えるとゾッとする。
線状降水帯の発生条件は、
- 暖かく湿った空気(水蒸気)が大量に継続して流れ込む
- 山岳地帯ないし前線があって水蒸気が上昇 ⇒ 積乱雲発生
- 大気の状態が不安定 ⇒ 積乱雲発達
- 上空で一定方向の強い風が吹いている
の4点が挙げられている。
広域ではないが、富士山でみられる笠雲が思い浮かんできた。
笠雲は止まっているように見えるが、実際は強い風が吹いていて、風上で雲が生まれて風下で雲が消える、といったことが繰り返されている。
線状降水帯の発生予測は今のところ困難とされる。
今後予測できるようになるかもしれないが、(海から)流れ込む水蒸気量が少し変わるだけで、いつ、どこで、どれくらい降るのか予測が大きく変わってしまう、とのこと。これはカオス。
また、線状降水帯由来ではない集中豪雨もある。
2019年6月-7月 豪雨
先月(6月)終わりの熊本の豪雨では線状降水帯が発生。
今月(7月)初めの鹿児島の豪雨では線状降水帯が発生した、という報告はない。
上の図は気象庁 高解像度降水ナウキャスト(www.jma.go.jp/jp/highresorad/)から。1時間先(の予測)までみられる。大雨警報(土砂災害)の危険度分布(www.jma.go.jp/jp/doshamesh/)等も併せてチェック。
国土交通省 川の防災情報(www.river.go.jp/)も役に立つ。
下の図は気象庁 天気図。
ここまで書いて言うのもなんだが、大雑把に停滞前線(梅雨前線/秋雨前線)を警戒ラインに置き換えて「昔より気象が激しくなった」と念じておけば良いのではないか、という気がしないでもない。
避難含めた防災の準備が大事。
たいてい集中豪雨は停滞前線まわりで起こっている。
2015年の関東・東北豪雨のように台風が絡んで南北に線状降水帯が発生したこともあるが稀。
梅雨前線の北上とともにだいたい
- 南九州
- 九州北部~中国・四国~東海・関東
- 北陸~東北
の順で警戒が必要。
追)2021年は東海・関東 → 中国地方 → 南九州 → 中国地方、東北の順で記録的大雨。
秋雨前線の場合は南下してくるので、だいたい逆の順。
梅雨前線は終わりが活発。雷ごろごろ。
秋雨前線は始まりが活発。
夏の始まりと終わり。
要注意、要警戒、要避難。