GMTで段彩図(グラデーション図)

MAP(地図)TIME(歴史)

 ある時(随分前のことだが)、段彩図(グラデーション図)を作ってみたくなった。地図帳でなにげなく見ている標高と水深の色分けをもう少し細かいレベルで見たくなった。宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡、与那国島~タイワン(台湾)について、かつて(人類誕生以降)地続きになったことがあるのか否か知りたくなった。

 海面がどれくらい低下していたのか、といった推定は、地殻変動も考慮したり、その道の研究者でないと容易には弾き出せないが、旧石器時代は全般的に寒冷で、その末期は海面が今よりも100m以上低かったと言われている。

 水深100mの等深線であれば地図帳に描かれているので、おおよそのイメージはつくが、そんな中

 GMT Generic Mapping Tools(gmt.soest.hawaii.edu/)

というソフトに辿り着いた。

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GMT - ETOPO

 GMTと一緒にダウンロードした地形図がETOPO。

 段彩図を描画するにはグリッド(メッシュ)毎に水深・標高が入力されている数値データファイル(数値地図)が必要で、地球全体の海洋・陸地を隈なく網羅している地形図がETOPO。

 アメリカNOAA(国立海洋大気庁)  National Oceanic & Atmospheric Administrationの国立環境情報センター NCEI National Centers for Environmental Information(旧NGDC)のサイト(ngdc.noaa.gov/mgg/global/global.html)にETOPO1データファイルがある。

  ※ ETOPO1
    地球全体の水深・標高データが緯度1分(= 1852[m] = 1海里)グリッドで網羅されている
    Ice Surfaceは南極・グリーンランドの氷床上の標高、Bedrockは氷床下(地表面)の標高

 GMTの使い方は、
 海底地形図作成講座(www.ofgs.aori.u-tokyo.ac.jp/~okino/gmtscripts/
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 を参照。

その1 日本列島

 ETOPOはファイルサイズが大きいので、必要な範囲をカットして使う。

 コマンドプロンプトから入力。

grdcut ETOPO1_Ice_g_gmt4.grd -R115/155/5/55 -GETOPOjp.grd

  -R ・・・ 東経115°~155°、北緯5°~55°の範囲。
  -G ・・・ ETOPOjp.grdファイル(ファイル名は任意)生成。

 次にカラーパレット設定。いくつか種類がある。reliefjp.cptファイル(ファイル名は任意)生成。

makecpt -Crelief -T-4000/4000/1000 -Z > reliefjp.cpt

  -C ・・・ カラーパレット reliefを使用。
  -T ・・・ 範囲は水深4000m~標高4000m。1000m間隔で配色。
  -Z ・・・ 連続的。指定しないと不連続。

 設定したカラーパレット reliefjp.cptを用いて段彩図描画。

grdimage ETOPOjp.grd -R115/155/5/55 -Jm0.4 -P -Ba10 -Creliefjp.cpt -K > gradjp.ps

  -Jm ・・・ メルカトル図法およびサイズ指定。
  -P ・・・ 用紙縦長。指定しないと横長。
  -Ba10 ・・・ 枠。10°おきに白黒。

  > ・・・ psファイル gradjp.ps(ファイル名は任意) に出力。
  -K ・・・ psファイルに追加可能(まだ続く)。

 最後に凡例(スケール)描画。

psscale -D8c/-1c/10c/0.25ch -Creliefjp.cpt -B/:[m]: -O >> gradjp.ps

  -D ・・・ 凡例の位置・大きさ。スケールの中心が図の左端から8cm、下端から-1cm。スケールの長さ10cm、幅0.3cm。最後のhは水平、hがないと垂直。
  -B/:[m]: ・・・ スケール横のラベル [m]。
  -O ・・・ psファイルに追加(上乗せ)。

  ということで、psscaleはgrdimageの後に描画する。
  最後は>ではなく>>

 .psはポストスクリプト Postscriptファイル。Adobe Illustlatorがあれば良いが、ない場合、
 GSviewなどのビューアをインストール。
  Ghostgum Sotftware(www.ghostgum.com.au/)からGSview 5.0。
   Ver6.0の開発は別会社。サポート終了。
  File - Convert - pdfwriteで、PDFファイルへ変換。
 別途Ghostscript(www.ghostscript.com/)が必要。

 オンラインで.ps ⇒ .pdfのファイルコンバーターも使える。
  → Convertio PSからPDFへのコンバーター(convertio.co/ja/ps-pdf/

 変換すると画質が落ちてしまうのが難点。

 時の流れを感じる。

その2 先島諸島(宮古列島、八重山列島)

 その1と同じ要領で描画。
 東経120°-128°、北緯20°-30°の範囲でカット。

grdcut ETOPO1.grd -R120/128/20/30 -GETOPOsaki.grd

 カラーパレット globeで設定。globesaki.cptファイル生成。

makecpt -Cglobe -T-5000/5000/100 -Z > globesaki.cpt

 globesaki.cptを用いて段彩図描画。

grdimage ETOPOsaki.grd -R120/128/20/30 -Jm2 -P -Ba1 -Cglobesaki.cpt -K > gradsaki.ps

 等高線/等深線も描く。範囲が大きいと時間がかかる。

grdcontour ETOPOsaki.grd -Jm2 -C100 -W0.1,128/128/128 -L-5000/5000 -A1000tf8 -O -K >> gradsaki.ps

  -C ・・・ 等高線/等深線の間隔100m。
  -W ・・・ 等高線/等深線の太さと色(グレー)指定。
  -L ・・・ 描画範囲は水深5000m-標高5000m。
  -A ・・・ 1000m間隔で標高/水深のラベル表示(透過)。

 凡例(スケール)描画。

psscale -D8c/-1c/12c/0.25ch -Cglobesaki.cpt -Ba1000f1000/:[m]: -O >> gradsaki.ps

  -B ・・・ 1000m間隔でラベル表示、1000m間隔で目盛り表示、スケール横のラベル [m]。

 南西諸島南方の暗黒部は、水深5000m以深の深海。
 島の周りの白い範囲が水深100mまで。かつて陸地だったことがある。
 宮古島の北東に「失われた島」がある(八重干瀬ではない)。
 寒冷化したら大陸が東にせりだしてくる。
 タイワンの北に見える渦がちょっと気になる。

 与那国島~タイワンは渡れない。
 ところで日台海峡とか与那台海峡とか台与海峡とか……何か良い名前はないのだろうか。
 追)与那国海峡という呼称を見かけたので、以後、使う。

その3 小笠原

 東経140-144°、北緯22°-28°の範囲でカット。
 以下5行。

grdcut ETOPO1.grd -R140/144/22/28 -GETOPOkazan.grd
makecpt -Cglobe -T-5000/5000/100 -Z > globekazan.cpt
grdimage ETOPOkazan.grd -R140/144/22/28 -Jm4 -P -Ba1 -Cglobekazan.cpt -K > gradkazan.ps
grdcontour ETOPOkazan.grd -Jm4 -C100 -W0.1,128/128/128 -L-5000/5000 -A1000tf8 -O -K >> gradkazan.ps
psscale -D8c/-1c/12c/0.25ch -Cglobekazan.cpt -Ba1000f1000/:[m]: -O >> gradkazan.ps

その4 宗谷海峡

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