元素
昔途中まで覚えた元素の周期表。水素 H、ヘリウム He、リチウム Li、…、。近頃、認知機能の衰えを実感することが増えたが、アルゴン Arまでは今なお大丈夫。マンガン Mn、鉄 Feあたりから怪しくなって、砒素 Asから先はそもそも覚えていない。Arの原子番号が18、Feが26、Asが33。2割程認知機能が低下したっぽい。
冗談はさておき化学の初歩はHから。物質世界の始まりもHから。
古代、物質の元(素)となる元素は、空気(風)、火、水、土(地)などと考えられていたが、後々各々、窒素、酸素、二酸化炭素、水、水素、金属などに分けられて、結局、デモクリトスが唱えたように粒(原子)に分けられた。
かつて周期表を覚えようとしていた時は原子番号103(ローレンシウム Lr)までだったが、今は118(オガネソン Og)まで名前が付けられている。ニホニウム Nhは113。
- Ptable(ptable.com/)
- 東京エレクトロン げんそ博士の元素周期表(www.tel.co.jp/genso/)
原子(粒子)はさらに原子核と電子、原子核は核子(陽子、中性子)に分けられて、さらに陽子、中性子はクォークで構成されている。
今日、これら素粒子が物質の元(素)。
陽子と中性子がほぼ同じ質量で、電子の質量はこれらより桁違いに小さい。
電気的には陽子が+(電荷+e)、電子が-(電荷-e)。中性子は電荷0。
電気的に釣り合っている(電荷0の)原子から電子が欠ければ+のイオン、電子が加われば-のイオン。
原子核の周りの電子がちょこまか動いて(量子的な振舞い)、他の原子の電子と付いたり離れたりして、いろいろ変化するのが化学反応。
原子核の核子である陽子、中性子は「強い力」で結びついているが、原子核が不安定な場合、放射線を出しながら自然崩壊していく。
また、原子核に高エネルギー(高速)の原子核ないし核子(陽子、中性子)を当てると原子核が別の原子核に変化する。いわゆる核反応。
核反応で発生するエネルギーは、化学反応で発生するエネルギーよりも桁違いに大きい。
原子番号、質量数
原子番号 = 陽子の数なので、水素:陽子数1、ヘリウム:陽子数2、リチウム:陽子数3、ベリリウム:陽子数4、ホウ素:陽子数5、炭素:陽子数6、……。
(電荷0の原子の)原子核の周りには陽子数と同じ数の電子がある。
原子番号が大きい元素は陽子数が多いので重い。水素が一番軽い。
陽子が増えていくと+と+が反発し合って不安定になっていくが、中性子が間に程よく入って安定した原子核になる。
とはいえ原子番号82、83の鉛 Pb、ビスマス Biより重い元素は、みな不安定で放射性元素。
※ ビスマスも(一応)放射性元素
元素記号の左下の数字が原子番号(=陽子数)。省略されることが多い。
元素記号の左上の数字が質量数。
質量数 = 陽子数 + 中性子数。
水素 1H:質量数1、ヘリウム 4He:質量数4、リチウム 7Li:質量数7、……、炭素 12C:質量数12、窒素 14N:質量数14、酸素 16O:質量数16……。
基準は炭素。炭素原子1個が12g(グラム)ではなく(そりゃそうだ)、6.02×1023個(アボガドロ[定]数という)で12g。この時の物質量が1mol(モル)。
水素 1Hの中性子数は、質量数1-陽子数1=0。
ヘリウム 4Heの中性子数は、4-2=2。
リチウム 7Liの中性子数は、7-3=4。
炭素 12Cの中性子数は、12-6=6。
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同位体
元素の周期表に併記されている(ことがある)元素の原子量は、質量数とほぼ同じ値だが整数ではない。
計算に用いる原子量・分子量は、H2O(水)ならば18(=1×2+16)、C6H12O6(ブドウ糖)ならば180(=12×6+1×12+16×6)といった具合に整数を使うことが多かったが、
自然界には同じ元素でありながら質量数が異なる同位体(アイソトープ)が存在するので、各同位体の原子量とその存在比を掛けて平均すると
水素:1.008、ヘリウム:4.003、リチウム:6.941、……、炭素:12.011、窒素:14.007、酸素:15.999、……。
同位体は陽子の数が同じなので、中性子の数が違う。
化学反応に関わる部分すなわち化学的性質はあまり変わらないが、原子核の安定性が異なる。
不安定な同位体すなわち放射性同位体(ラジオアイソトープ)は、上で述べたように放射線を出しながら崩壊して、別の安定した原子核に変わっていく(壊変)。
自然界に存在する水素の99.9%超が1H。
1Hの原子核は陽子1個のみで中性子がない。すなわち陽子=水素 1Hの原子核。
1Hに中性子1個が加わると重水素 2H。Dとも記される。
天然存在比0.1%未満だが安定同位体。
陽子数1、中性子数2の3Hは今話題のトリチウム(三重水素)。Tとも記される。
放射性同位体だが、自然界にも存在する。
重水素 D(=2H) + 中性子 1n → トリチウム T(=3H)
自然界に存在するヘリウムの99.999%超が4He。
ヘリウム 4Heの原子核は陽子数2、中性子数2で、α(アルファ)粒子と呼ばれる。
ヘリウム3 3He(陽子数2、中性子数1)も安定同位体だが、(地球上の)天然存在比は0.001%未満。月に行けばたくさんある。
トリチウムが崩壊するとヘリウム3になる。
炭素は12Cが天然存在比98.9%。13Cも安定同位体で天然存在比1.1%。
[平均]原子量は、
(12 × 98.9 + 13 × 1.1)/ 100 = 12.011。
炭素11 11C、炭素14 14Cは放射性同位体。いわゆる放射性炭素。
11Cは短命だが、14Cは比較的ゆっくり一定の割合で減っていくので、年代測定に利用される。
多くの元素に同位体が存在し、例えばスズ Sn(原子番号50)の場合、同位体は10超ある。
金属セシウム Cs(原子番号55)の場合、133Cs(陽子数55、中性子数78)が天然存在比100%。
ただし、核燃料由来の放射性同位体(放射性セシウム)137Cs、134Csが本来あるべきでない所に漏れ出して(飛び出して)しまった。
水素の放射性同位体であるトリチウムが自然界に存在しているのは主に宇宙由来。
核燃料由来のトリチウムも同じトリチウムだが……。