2024年8月 南海トラフ地震臨時情報 -日向、相模で地震- 

GEO(地)

 猛暑、豪雨、地震、
 東北へ台風。

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日向灘地震、南海トラフ地震

 8月8日 日向灘を震源とする地震発生。
 マグニチュード(M)7.1、震源の深さ31km。
 ※ 防災科学技術研究所(防災科研)の値はM6.9。以下の震度も防災科研 J-RISQ 地震速報から
 震度6弱 宮崎 日南
 震度5強 宮崎 宮崎、串間、都城、鹿児島 大崎
 震度5弱 宮崎 高鍋、国富、小林、三股、新富、高原、鹿児島 鹿児島、鹿屋、霧島、垂水、姶良、曽於、肝付、東串良
 津波の観測は宮崎港 50cm、日南市油津 40cm

 ▼ 気象庁 報道発表 令和6年8月8日 「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)について」から震央分布図

気象庁

 太平洋の赤線が南海トラフ~駿河トラフ。フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界。
 ※ トラフ Troughは舟状海盆。細長い盆地で海溝ほど深くない。海溝はトレンチ Trench
 その北の点線がフィリピン海プレート上面の深さ10km、20km、30km。
 30kmと40kmの間に赤・青線。
 赤線で囲まれた範囲が南海トラフ[巨大]地震の想定震源域。
 少し広い青線(赤線の約50km外側)で囲まれた範囲は地震活動の監視領域。

 報道発表の資料には他にもいろいろ図が掲載されている。
  1919年~2024年の震央分布図
  過去(西暦600年以降)の南海トラフ地震の発生状況
  など

 今回の地震では初めて南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」が出された。
 8日夜から太平洋側、九州・四国~関東の広い範囲で
 鉄道が走行速度落としたり、
 閉鎖する海水浴場があったり、
 少し違うお盆休み。
 1週間続く。
 通信会社は連絡態勢強化。
 愛媛の伊方原発は7月から定期検査中。9月まで。
 静岡の浜岡原発は2011年から13年停止中。

 今年は正月から能登半島大地震があり、
 4月には愛媛、高知で震度6弱の地震もあった。

 南海トラフ地震の想定震源域でM6.8以上の地震が発生した場合、気象庁から南海トラフ地震臨時情報が出されて、専門家が評価検討会を行う---
 4月の豊後水道の地震はM6.6で、あと0.2足りなかった。

 今回、(臨時の)評価検討会初開催。
 結果、「巨大地震注意」
 ・ M7.0以上の地震が発生した場合
 もしくは
 ・ 通常とは異なる「ゆっくりすべり」が観測された場合
 「巨大地震注意」になる。

 ※ 臨時の評価検討会は今回が初めてだが、定例の評価検討会は常日頃から原則毎月1回開催されている
   ゆっくりすべり(スロースリップ、スロー地震)は、引きずり込まれたプレートがゆっくり戻ろうとする動きで、通常の地震と違って体感できるような揺れは発生しない。歪み計(ひずみ計)によって観測される。巨大地震の前兆とも言われ、監視されている

 M7.0未満で観測に異常がなければ、「調査終了」。
 今回はM7.0前後で、想定震源域の端っこ。異常な動きが観測されているわけでもない。
 実のところ、4月にも震度5弱(宮崎 日南)の地震があったので、全く突然というわけでもない。

 評価検討会(調査)の結果にもう1つ「巨大地震警戒」というのもあるが、これはM8.0以上が発生した後。
 言われなくても誰だって警戒するだろう、と思わずにはいられないが、想定震源域・監視領域が東西に広いので、東の東海でM8.0以上が発生したら西の南海も警戒、もしくは逆に南海で発生したら東海も警戒、という巨大地震の連動の警戒。
 激甚災害が広範囲に及ぶ可能性があるので、南海トラフ地震は特段警戒されている。

 過去の南海トラフ地震は、
 戦時、戦後を襲った
 1946年 昭和南海地震 M8超
 1944年 昭和東南海地震 M8超
が最後。(ひどい時代)
 その前は
 1854年 安政南海地震、安政東海地震 いずれもM8超
 その前は
 1707年 宝永地震 M8超

 やや紛らわしいが、
 南海地震といった場合、四国~紀伊半島沖、
 紀伊半島~愛知沖が東南海、
 その東、静岡沖が東海という区分。

 防災科学技術研究所 J-RISQ 地震速報(www.j-risq.bosai.go.jp/report/)の2024/08/08のページの下のほうに「この地域で起こった過去の主な被害地震」が載っている。
 1968年以前、M7超の地震がたびたび起きている。
 1968年 M7.5
 1961年 M7
 1941年 M7.2
 1931年 M7.1
 津波は1941年、最大1mとある。

 追)日向灘では1996年にもM7に近い震度5弱の地震が起きていて、およそ30年周期でM7クラスの地震が起きている、とのこと。
   震度データベース検索によると1970年、1987年にも震度5の地震。

 豊後水道~日向灘の地震は、過去最大がどの程度だったのか気になる。1m超の津波が起こったことはないのだろうか---。
 調べてみると、1662年「外所(とんところ)地震」が過去最大級、とある。2022-2023年発表の研究によるとM7.9。
  ※ 京都大学、産業総合技術研究所(産総研)、北海道立総合研究機構
    産総研 2023/01/11 1662年日向灘地震の新たな断層モデルを構築(www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2023/pr20230111/pr20230111.html)
    シミュレーションによると日南市小目井で津波の高さ約11m。約25分で到達
 もっと前のことも分かると尚良いが、
 とりあえず日向灘においても
 M8級の巨大地震、高さ10m超の大津波が発生しうる。

 南海トラフ地震に関する情報は、
 気象庁 - 知識・解説 - 南海トラフ地震について(www.data.jma.go.jp/eqev/data/nteq/)
 など参照。
 「南海トラフ地震発生で想定される震度や津波の高さ」のページより「南海トラフ巨大地震の震度分布図」が下図。

気象庁

 最大震度7が想定されている地域(赤色)は、
 静岡、愛知、三重、徳島、高知、宮崎、
 和歌山、淡路島、愛媛も一部赤っぽく見える。

 2000年代初頭の(同様の)震度分布図を見ると震度7想定地域は静岡、愛知、三重などで、全体的には赤っぽくない。宮崎に震度7想定地域はない。

 津波に関しては宮崎、高知から静岡、伊豆諸島にかけて高さ最大10m超の想定。
 「リーフレット」には最大30m超と記されているが、シミュレーションによると高さ20m超は静岡、伊豆諸島に限られている。

 ざっとみる限り、
 日向灘のM7超地震とM8超の南海トラフ地震はあまり結びつける必要はないかも、
 南海トラフ地震が100-150年間隔であるならば次は2030年代後半以降だろう、
 と楽観視
 していた
 が、翌9日、神奈川で震度5弱の地震があって、タイミング的にビビらされた。

 神奈川はだいたい震度5強~震度6(西の一部)の想定。南海トラフよりも相模トラフのほうが要警戒。

 8月9日 19:57 M5.3、震源の深さ13km。
 ×(震央)は内陸。新東名 新秦野ICの近く、鍋割山の南。
 震度5弱 神奈川 中井、松田、清川、厚木、山梨 大月、都留
 丹沢の近くでドスコイドスコイし始めた。

 神奈川県温泉地学研究所HPによると
 この地震による箱根火山への影響なし。

 でもビビらされたので、カラになっていた20リッターのポリタンクに水入れておいた。

 能登半島大地震は1000年に1度、もしくはそれ以上の間隔で起きた。遭遇する確率は低いが、ゆえに過小評価されていた感がある。

 想定は時とともに変わっていく。

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