地震波(震動波形)を見る

GEO(地)

 もう1回地震関連。

 地震発生後、たいていの場合、
 震源(位置、深さ)、震度、マグニチュード
を確認して終わりだが、
 気象庁や防災科学技術研究所は、様々なデータ・図表を公開していて、
 次のステップは、
 ・ タマっころ(震源球)

 ・ 地震波(震動波形)

 前者は地震のメカニズム(機構)。
 今回は建造物の耐震に関わってくる後者を覗いて見る。

  •  気象庁HP - 各種データ・資料(www.jma.go.jp/jma/menu/menureport.html) - 地震・津波の観測・解析データ - 強震観測データ
  •  防災科学技術研究所 - 強震観測網(K-NET、KiK-net)(www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/)の
     ダウンロード - 地震選択&ダウンロード
     など
     K-NETのKはKyoshin(強震)

 気象庁のデータは過去の主な地震。
 (今回の能登半島地震のデータは防災科学技術研究所のHPから見れる。)

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気象庁データ

 ひとまず気象庁の強震観測データから「平成7年(1995年)兵庫県南部地震」いわゆる阪神・淡路大震災の神戸中央区中山手の「波形」にアクセス。

気象庁HPから

 左側に並んでいる図が地震計から得られる地震波の波形図。
 上から縦軸=加速度、速度、変位それぞれ3つずつ。みな横軸=時間[秒 sec]。
 それぞれ3つは、
 ・ NS = 南北方向
 ・ EW = 東西方向
 ・ UD = 上下方向

 変位の単位は[cm]、速度は[cm/sec]=[cm/s]。
 加速度の単位は[ガル gal]。=[cm/s2]。
 ちなみに速度の[cm/s]は、=[カイン kine]。
 阪神・淡路大震災の最大加速度は南北方向 NSの818[gal](3成分合成の最大は891[gal])。818[gal] = 8.18[m/s2]で、980[gal]だと=重力加速度 g = 9.8[m/s2]。

 地震計は変位計、速度計、加速度計があって、
 強震観測で使われているのは加速度計。
 変位計が感覚的に分かりやすいが、
 加速度 a、g × 質量 m = 力 F
なので、加速度がより直接的に力(建造物にかかる破壊力)につながる。
 変位、速度、加速度は変換可能。

 阪神・淡路大震災の神戸の地震波は、10秒-十数秒間大きな揺れ。震央距離 λが短いので分かりづらいが、時間軸にP、Sが記されている。それぞれP波到達時刻、S波到達時刻。震央距離が長い地点はP-S時間が長い。

 同じく気象庁の強震観測データから「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」いわゆる東日本大震災にアクセス。
 震度6強の宮城県涌谷町新町(震央距離158.5km)の波形は2つ塊がある。いったんおさまりかけた後、また大きい揺れ。

気象庁HPから 加速度波形

 岩手県大船渡市大船渡町(震央距離145.7km)の東西方向 EWで最大加速度944.1[gal]記録(3成分合成1076.4[gal])。宮城県涌谷同様、波形は2つ塊がある。
 縦軸は上限-下限の値が変わっていたりするので比較して見る場合注意が必要。
 岩手県大船渡の震度は6弱(計測震度は5.69)。宮城県涌谷より最大加速度は大きいが、震度は小さい。
  震度は揺れの周期なども関係。
 茨城県土浦市常名(震央距離324.9km)も震度6弱(計測震度は5.69)、南北方向で最大加速度855.8[gal](3成分合成856.9[gal])と大きな値。
 ゆらゆらと長々揺れ続けた南関東のデータも見れる。長周期地震動。

 地震波の波形図の右は、フーリエスペクトル、応答スペクトル(縦軸は速度)と呼ばれる図。対数表示。
 横軸は揺れの周期[秒 sec]。
  追) 固有周期、減衰定数について
 Horizon(HZ)は南北、東西の2成分(水平)合成。
 多くの場合、水平方向の最大加速度(破壊力) > 上下方向の最大加速度(破壊力)。

 2016年の熊本[・大分]大地震のM7.3は、4月16日01時25分。
 震度6弱の大分県別府市鶴見で、上下方向の最大加速度が860.8[gal]。南北方向、東西方向を上回っている。

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防災科学技術研究所データ

 防災科学技術研究所の強震観測網(K-NET、KiK-net)のデータ・図表も地震波の図と応答スペクトルの図。
 こちらは加速度応答スペクトルの図も見れる。
 強震記録波形は加速度波形。(1)南北方向 NS、(2)東西方向 EW、(3)上下方向 UD。
 KiK-netの強震記録波形は(4)(5)(6)もあるが、(1)-(3)が地中、(4)-(6)が地表。
 K-NETは地表のデータ。阪神・淡路大震災の後、1996年以降。

 今回の能登半島地震のデータも見れる。
 7地点で最大加速度(3成分合成)が1000[gal]超。
 最大が震度7(計測震度6.6)の富来(石川県志賀町)で2828[gal](東西2678[gal])。

 K-NET、KiK-netで東日本大震災のデータを見ると
 19地点で1000[gal]超。最大が震度7(計測震度6.6)の築館(宮城県栗原市)で2933[gal](南北2700[gal])。3G。
  ※ 計測震度6.5以上が震度7。K-NET穴水が計測震度6.5

 2008年6月14日 M7.2 岩手内陸南部の地震(岩手・宮城内陸地震)の一関西(岩手県一関市厳美町)で最大加速度(3成分合成)4022[gal]。これが最大。4G超。
 上下方向3866[gal]で水平方向(南北1143[gal]、東西1433[gal])を大きく上回っている。

 2000年以前は見かけなかった値が続々と記録されている。

 加速度応答スペクトルが建造物の耐震に関わってくる。次のステップ。
 (基本的には)水平方向の破壊力に耐えられる構造にする。
 ただし、耐えるというのは全く壊れないという意味ではないので、
 この点正しく評価して支援する必要がある。

 壊れても復興、その繰り返し。

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