水平方向
プレート Plateは、地殻 + [上部]マントル最上部の岩板(岩盤)。厚さ平均約100km。
ゆっくり水平移動している。
太平洋プレートの場合、海嶺(東太平洋海嶺)で生まれて海溝へ沈み込み、その際、地震が発生する。
実際には球面を移動しているので、回転軸が存在し、
ほぼ剛体といっても各部移動速度が同一というわけではなく、
フィリピン海プレートのように移動方向が変わることもある。
フィリピン海プレートは、太平洋プレート同様、海溝へ沈み込んでいるが、伊豆・小笠原諸島の南方にプレートを生み出す海嶺が見当たらない。
南から北へ移動する前は西から東へ移動していて、その間は大陸プレートの下へ沈み込むのではなく横ずれしていて(トランスフォーム)、さらにその前は南から北へ移動して海溝へ沈み込んでいたという。日本列島形成前で今とは地形が大きく異なるのでこれ以上深入りできないが、地下から上昇してくるマグマがプレートの元となり、プレートを動かしている……。
垂直方向
プレートの移動は水平方向だけではなく、地下への沈み込み(+地下からのマグマ上昇)、という垂直方向もある。
▼ よく目にする図
海洋プレートが大陸プレートの下にズズンズズン沈み込んで、大陸プレートが元に戻ろうと跳ね上がる時に地震・津波が発生する。
プレートはもっと沈んでいく。
※ 沈みゆくプレートはスラブ Slabとも呼ばれている。どちらも「板」
プレート(スラブ)は海溝から斜めに沈み込んでいくが、そのプレート(上面境界)の等深線の図を見ると深さ100-150kmまで沈んだところの直上に活火山が並んでいる。火山フロント(火山前線)。地震帯と「少し」ズレている。
- 富士・箱根 … 浅間山 … 蔵王山 … 八甲田山 … 十勝岳 …
- 富士・箱根 … 伊豆・八丈 … 西之島 - 硫黄列島 …
- トカラ列島 - 口永良部島 - 三島 … 桜島 … 霧島 … 阿蘇 …
太平洋プレートとフィリピン海プレートの等深線の図
HIROSE Fuyuki’s HP - 太平洋プレート(www.mri-jma.go.jp/Dep/sei/fhirose/plate/PAC.html)
追)同様の図は地質図Navi(gbank.gsj.jp/geonavi/)の「データ表示」からも見られる
関東平野の茨城などは深さ100km未満の同じぐらいの深度に太平洋プレートとフィリピン海プレートが沈み込んでいて複雑(接触域)。
富士山では太平洋プレートが深さ150km、フィリピン海プレートが深さ10km。
新潟焼山 - 北アルプス - 御嶽山では太平洋プレートが深さ200-250km、フィリピン海プレートが深さ100-150km。フィリピン海プレートの傾斜がきつくなっている。
西日本では太平洋プレートが400km以深。九州でフィリピン海プレートの傾斜が急。深さ100-150kmのラインに活火山が並んでいる。
同じフィリピン海プレート、南海トラフへの沈み込みでも四国・中国は緩やか。現在活発な火山はない。深さ100-150kmは山陰沿岸~隠岐。
近畿地方に活火山がなく有馬温泉が湧く原因を解明 / 神戸大学 / 2020(www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2020_09_14_02.html)
沈みゆくプレートに含まれる水の量でマグマが発生するか否か変わってくる。
水が少ないと多量のマグマ(マグマ溜まり)を生み出せない。四国・中国の下へ沈み込んでいるプレートは水が少ない。
ともあれ深さ100-150kmで生み出されたマグマが上昇して、地殻上に出て移動した後、海溝・トラフへ沈み込んで……という循環サイクルで完結---
しない。
もっともっと深くマントルの底(地下2900km)までズズズズンズズズズン沈み込んで、上昇してくる「プルーム Plume」の循環サイクルもある(マントル対流)。
地球は奥が深い。
プレートの移動の原動力は、
・ マントルの運動による
・ プレートの自重による
の2説あるが、前者が主。
プレートはなぜ動くのか? ~プレート運動の原動力に関する新しい発見~ / JAMSTEC(海洋研究開発機構) / 2014(www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20140331/)
-参考-
- フォッサマグナ / 藤岡換太郎 / 2018 / 講談社