日本と世界の超高層ビルディングをざっとみたついでに力学の力(ちから)について。
力の釣り合いなどの静力学 statics。
建造物は基本的に動かない物体なので速度0(v=0)。
ニュートン力学以前どころか紀元前の昔から、精巧な建造物、巨大な建造物-橋や神殿など-が造られているので、
土木・建築分野は科学というより
工学のほうがしっくりくる。
荷重 - 応力
動かない物体であっても常に重力がかかっている。
高層建築では柱の底~基礎/地盤に大きな重力が圧縮力としてかかる。
一方で、地盤がズブズブと沈まなければ(沈んでは困るが)、作用する重力と等しい大きさの力が反作用する力として地盤から柱へと向かう。
力の釣り合い。
作用する力 = 荷重
接点(支点)で反作用する力 = 反力、[垂直]抗力
加えて、建造物には、常にではないが、
風[圧力]
地震[力]
もかかる。
重力、風、地震が建造物にかかる主な力。
建造物の部材(柱、梁、壁、床/天井、屋根)、基礎/地盤には
・ 垂直(鉛直)方向
・ 水平方向
に荷重がかかる。
荷重と反対向きで釣り合う反力(抗力)は、部材にかかる応力。
また、
・ 支点回り
のモーメントの釣り合いも考慮する必要がある。
※ モーメントは回転させる力。ただし、力とは違う次元。トルクとも
例えば、長い柱が傾くと柱の上部にかかる重力と柱の下部にかかる重力が同一線上ではなくなり、回転しようとする力が働く。
応力によって全く変形しなければ剛体だが、
部材は以下の応力によって変形する。
軸方向の伸び縮み
・ 圧縮
・ 引っ張り(引張)
および
・ 剪(せん)断 ・・・ 横ずれ
・ 曲げ
・ ねじれ
変形してもバネのように元に戻れば弾性体。
ヤング係数と呼ばれる値は弾性係数。バネ定数みたいなもの。
変形したまま元に戻らない場合、塑性。
部材にかかる応力を十分に上回る強度の部材で組み立てれば強靭強固な建造物になる。
構造計算。
荷重、応力の単位は、N(ニュートン)、kgf(キログラム重)。
1kgf=9.8N。1000N(=1kN)ならば100kgちょっとの重み。
応力を断面積で割った応力度、部材の強度の単位は、N/cm2、N/m2など。
石やコンクリートは引っ張りに弱い。
鋼鉄は強靭で引っ張りにも強い。ケーブルでいろいろ吊れる。
部材は熱や水(浸水による腐食、凍結)などの作用にも耐える必要がある。
部材の強度が高くなれば、より一層頑強な建造物、超高層・大スパンの建造物を生み出せる。
鉄骨造は、高張力鋼によって。
鉄筋コンクリート造は、高強度コンクリートによって。
木造も。
使われているのは構造用集成材、単板積層材。
やっぱり科学の力あってこそ。
まだまだ高く、長くできるらしい。