昨年(2023年)あたりからペロブスカイト太陽電池の名を見かけることがぐーんと増えたような気がする。
太陽電池について。
一応、電池「史」その2(2019年の記事)の続き。
乾電池、リチウムイオン電池などは、
・ 化学反応のエネルギー ⇒ 電気エネルギー
太陽電池は、
・ 太陽光のエネルギー ⇒ 電気エネルギー
金属に光が当たって電気が流れる光電効果の応用
原理が異なる。
太陽電池
太陽電池は割と昔から身近にある。
近くにソーラーパネルや太陽光発電所がなくても、電卓や時計などに使われている。
1958年、人工衛星バンガード1号(アメリカ)で使われたのが実用化の始まり。
最初の太陽電池の材料は、半導体の珪素(シリコン) Si。
1954年、ベル研究所(アメリカ)で最初のシリコン太陽電池。
下は以前(2022年)、半導体についてまとめた記事。
シリコン Siの結晶自体は絶縁体だが、
不純物を加えたり、光を当てると
電子が流れる(電気が流れる)。
電子が多い電荷-のn型半導体と電子の抜け孔(正孔、ホール)が多い電荷+のp型半導体を接合して……というのがダイオードで、
(順方向に)電圧を加えるとn側からp側へ電子が流れる(pからnへ電流)。その際、光るダイオードがLED(発光ダイオード)。
n型半導体とp型半導体を接合して光を当てると
さらに-の電子がn側、+のホールがp側へ集まって、
n側が-(負極)、p側が+(正極)の電池になる。
pn接合部が発電層。
導線をつなぐと導線をn(-)からp(+)へ電子が流れる。
ダイオードの順方向とは逆。
用途が異なるものの基本的にはダイオードと同じ。フォトダイオード。集積したものが太陽電池モジュールやCCDカメラなどのセンサー。
ただし、光が当たっていない時は電気が流れないので、
太陽電池自体は蓄電池ではない。
光が当たっていない時でもソーラー時計が動くのは内蔵されている二次電池に充電・蓄電されているから。
太陽電池いろいろ
結晶[系]シリコン太陽電池
単結晶シリコン太陽電池
最初の太陽電池
多結晶シリコン太陽電池
単結晶よりも比較的安価
アモルファスシリコン太陽電池
アモルファス:非晶質。結晶と違って原子の配列が不規則。
世界初の実用化は1979年、三洋電機 SANYO。
1980年、量産。ソーラー電卓発売。
世界初のフレキシブル太陽電池 → TDK … テクの図鑑 vol.18(www.tdk.com/ja/tech-mag/illustrated/018)
フレキシブル Flexible:加工しやすい、曲げられる。
基板にプラスチックフィルム。従来はガラス基板。
ソーラー腕時計に利用。
太陽電池の性能は、
・ 光から電気へのエネルギー変換効率向上
・ より軽く、より薄く
・ 耐久性向上
+
・ 製造コストを抑える方向で
日進月歩。
さらに向上させようとすると集光を工夫したり、
あるいはシリコンに代わる別の材料を探したり……。
10年程前の変換効率は、結晶シリコンで10%-20%台だったが、20%-30%台まで向上。
化合物太陽電池
材料は化合物半導体。
Ⅲ-Ⅴ族系 ・・・ 13族-15族
GaAs系太陽電池
ガリウム Ga、砒素(ヒ素) As
CIS系、CIGS系太陽電池
銅 Cu、インジウム In、セレン Se + Ga
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今年(2024年)1月、月面に着陸したSLIMにシャープ製の薄膜化合物太陽電池搭載。宇宙用太陽電池 → corporate.jp.sharp/news/240129-b.html
2023年、『変換効率33.66%を達成』
有機[系]太陽電池
材料は有機半導体。
一層難しくなってくるが……
p型半導体(電子供与体、ドナー):半導体ポリマー(高分子)
n型半導体(電子受容体、アクセプター):フラーレン誘導体など
他にも無機有機ハイブリッドなどがある。
冒頭のペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト型結晶を用いた太陽電池。
ペロブスカイトとは---
また次回。
追)