GADMデータから各国の行政界を描画している途中、サン・マリノの地図がベースマップ(OpenStreetMap)とずれているのが気になった。
簡素化しすぎて合わないというのではなく、全体的に西にずれている。
他の国々は合っているし、線(ライン/ポリゴン)のデータも地点(ポイント)の座標(緯度・経度)の連続だから、サン・マリノのGADMデータのほうが少し違っているようだ。
測地系(地球の座標系)が違うのかとちょっと考えてしまった。
測地系はGADMデータもベースマップ(オンライン地図)も同じWGS84 World Geodetic System 1984になっているが、
- GADMデータ --- EPSG4326:WGS84
- ベースマップ --- EPSG3857:WGS84 / Pseudo Mercator(擬似メルカトル) = Spherical Mercator 球面メルカトル図法
で、違いがある。
ずれて初めて意識するCRSとEPSG。
CRSは座標参照系(空間参照システム) Coordinate Reference System。
EPSG(epsg.io/)は各々割り当てられているコード。
※ EPSG European Petroleum Survey Group(欧州石油調査グループ)
GoogleMap、OpenStreetMap、地理院地図(電子国土Web)などインターネットで使うオンライン地図のCRSは軒並みEPSG3857。
かつてはEPSG900913(≒ google)。
北緯およそ85°以北、南緯およそ85°以南は描かれない。グリーンランドやスバールバルは描かれる。陸地で描かれないのは南極の一部のみ。
※ より正確には85.0511°
準拠する地球の形状はWGS84楕円体ではなくWGS84楕円体の長径(6378.137km)を半径とする球体。
よって南北に少し引き延ばされる。
擬似メルカトル図法で正確には正角ではないが、狭い範囲であれば正角。
これまでに使ったNatural EarthのデータはWGS84。
国土地理院の地球地図日本は、
EPSG4019:GRS80 Geodetic Reference System 1980
だが、WGS84同様、世界測地系で、WGS84とほとんど同じ。
こんがらがって、QGISでEPSG4326からEPSG3857に変換してみたら座標が緯度・経度ではなくなっていた。
例えばサン・マリノだと(12.45、43.92) = 東経12.45°、北緯43.92°が、EPSG3857で(1386142、5452799)といった具合。
単位はメートル [m]で、本初子午線(経度0°)から東へ1386.142km、赤道(緯度0°)から北へ5452.799km。
※ 地球一周約4万km。
緯度・経度はオンライン地図の側で座標変換されて表示されるので、CRS/EPSGを意識して使うことはなかった。
何事も精密さを求めだすと難しくなっていく。
追)EPSG3571~3576は、北極圏のランベルト正積方位図法
追)関連---南極大陸描画