ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから2025年2月で3年。
先日、ホワイトハウスで行われたアメリカ-ウクライナ首脳会談は「歴史的」だった。英語で直接会話するより通訳挟んだほうが良い場合もある。
この会談の前からウクライナ大統領はアメリカ大統領に独裁者呼ばわりされ、国連総会のロシア軍撤退決議案でアメリカは反対にまわっていた。
チャイナは棄権
国連(国際連合)は
安保理常任理事国による侵略で空転、
2023年10月からパレスチナ・ガザ-イスラエルの紛争が加わって麻痺状態、
本部のあるアメリカがブレている。
世界情勢が大きく動いていて、歴史の転換点にいるのは疑いない。
歴史の転換点
歴史に疎い人でも知っている第二次世界大戦。1945年終戦で、今年(2025年)は戦後80年。
世界中ますます紛争が増えて、紛争を抑止する力が弱まってきた。
歴史の転換点というと産業革命、市民革命があるが、大規模戦争(大戦)は押さえておきたいところ。
フランス革命以降のヨーロッパをみてみると
ナポレオン戦争(1796年-1815年)
なぜか共和国ではなく帝国になった。
ウィーン会議(1814年-1815年)
⇒ ウィーン体制 ・・・ ヨーロッパの秩序
ナポレオンが退いた後、フランス革命前に戻る。まさかの王政復古。ブルボン朝ルイ18世(ルイ16世の弟)即位。のち共和国のち帝国。ナポレオン3世。
当時のヨーロッパ列強は、イギリス、フランス、ロシア、オーストリア、プロイセン。
オーストリアは神聖ローマ帝国解体で、オーストリア帝国
プロイセンはのちにドイツの中核になる王国。現在のドイツ北部~ポーランドから台頭
イタリアはまだ分立状態
クリミア戦争(1853年-1856年)で、秩序(ウィーン体制)崩れる。
ロシアとトルコ(オスマン帝国)の対立が発端。トルコ側のイギリス、フランスが戦勝国。ロシアは失墜。
プロイセンが強大化、オーストリアが弱体化。
第一次世界大戦(1914年-1918年)の発端はオーストリア(オーストリア-ハンガリー帝国)とセルビアの対立だが、
オーストリア側のドイツとセルビア側のロシア、フランス、さらにイギリスも参戦して泥沼化。
イギリス、フランスが戦勝国。大戦中の1917年にロシア革命(のちソビエトへ)。
パリ講和会議、ベルサイユ条約(1919年)など
⇒ 「ベルサイユ体制」 ・・・ ヨーロッパなどの秩序
国際連盟設立(1919年)
本部はスイス ジュネーブ
アメリカの提唱だが、アメリカは不参加
ドイツなど途中で脱退。日本も
ワシントン会議(1921年-1922年)
⇒ 「ワシントン体制」 ・・・ 太平洋、東アジアの秩序
再起不能と思われたドイツが復活。
第二次世界大戦へ。
軍拡、不透明な将来
フランス革命-ナポレオン戦争の後、18世紀末-19世紀、科学を社会にも適用して将来を予測しようとする社会科学なるものが重視されてくるが、生まれてまもないアメリカがのちに世界の覇権国家になると予測できただろうか。
もしも将来を予測できるなら世界大戦を防げるかもしれないが、20世紀に第一次世界大戦、第二次世界大戦が起きた。
ウクライナへのロシア侵攻を振り返ってみても、ほぼ予測できていなかった。警鐘ならしていた人もいたが、あまり省みられなかった。開戦後のロシアの経済予測にいたっては悉く外れていた。
当たらないけれど社会科学は難しい。科学が苦手だから社会系ではなく、科学を適用するのだから本来科学を理解していることが前提。
ウクライナは最大の支援国だったアメリカ抜きで戦争を終わらせることができるだろうか。
最近まで東部でじりじり押され続けて、今は膠着状態のようだが、押し戻す力がないとなかなか侵攻を諦めてくれない。一方、ロシアも無限に兵士がいるわけではなく、エネルギー関連施設も随分たたかれている。侵攻当初に比べれば弱体化している。
ロシアはやめると決断すればやめられる。一方、ウクライナは3年間、戦い続ける他なかった。
アメリカが支援を止めた場合、一時的ではなく恒久的に続く可能性があるので(今は一時的と言っているが)、今まで以上にヨーロッパ諸国が支援する必要があるが、領土奪還できずに死者が増えていくのであれば、停戦可能な時を逃さず停戦維持に努めたほうが良いことは確か。ハルキウやオデッサが守られるなら負けではない。
今アメリカに停戦させる力があるのは良いこと。ただ、アメリカがロシアの代弁者になっていて、停戦後の安全保障を提示できていないので、ウクライナのみならずヨーロッパ諸国の不信感をかってしまっている。デンマーク自治領であるグリーンランドをめぐって領土獲得野心も露にしているのも良くない。どのみちヨーロッパ諸国はアメリカに依存しすぎの安全保障を見直す必要に迫られるだろう。
日本も見ようによってはヨーロッパ以上に厳しい。アメリカありきで物言う政治家もいるが、アメリカは日本を守るために戦うのではなく、アメリカの利益のために戦う。
より厳しい状況下のタイワン、フィリピンも防衛費増額を要求される。
目下大統領不在で国内が揺れているカンコクも厳しい。不安定なままだとアメリカとロシアが頭越しに話し合って重要な決定が下されてしまう可能性がある。
アメリカはロシアよりも経済大国化したチャイナを脅威とみなしているので、ヨーロッパ方面で消耗していられない。
近年チャイナの経済成長が失速しているので、2020年代後半にアメリカを上回るという予想は修正されているが、全方位関税合戦で再修正の可能性もある。
つい欧米とひとくくりにしがちだが、ヨーロッパとアメリカは違う。今後より意識する必要がある。
イギリスやフランスは民主主義の旗振り役。それが行き過ぎて時に目障りに感じることもあるが。
アメリカは自国の繁栄が第一。元来世界平和という崇高な精神を持ち合わせているわけではない。
気になるのは大統領よりも大統領の周りに控えている若手の強硬派。先日の首脳会談のクラッシュも副大統領の横槍が発端になっている。今後矛先が変わって、危険にさらされるのはアメリカ国民という可能性も……。杞憂ならば良いが。
国連が戦争抑止に役立たず、世界中軍拡(軍備拡張)の時代へ。
グローバル化が進む一方で、理想を語り合う時代が終わろうとしている。何かがおかしい。人類はおかしい。