東日本大震災 福島の状況 まとめ

ENERGYNATURE(自然)

 2011年3月11日以降、福島は地震、津波に加えて原発事故に苦しめられた。
 9年経っても苦しめられている状況。

 以前まとめた福島第一原発事故のページ   

 簡潔にまとめると酷かった。
 ヘリから原子炉へ放水している時は、いよいよ駄目かと思った。
 原子炉が巨大缶詰のように街中を転がっている悪い夢も見た。

 それでも停止中の原子炉があったり、海に向かって風が吹いていたり、水位が下がった核燃料プールに偶然水が流れ込んだり、いくつか助かっている面もあった。不人気な政権・不人気な首相だったが、誤った人だったら最悪のシナリオを辿っていた可能性もあった。

 現在も
 ・ 汚染土の除染 ⇒ 中間貯蔵
 ・ 福島第一原発 汚染水処理
 ・ 福島第一原発 廃炉作業
 が行われている最中。

 放射線量が高い地域(20[mSv/年]超)は、事故当時風下となった「福島第一原発から北西」に帯状に広がり、居住不可となった。

 除染が行われた市街は、順次避難指示が解除されているが、9年、10年経っても戻れない地域もある。

 広大な山林は放射線量の自然減を気長に待つほかなさそう。

 以下のサイトで現況を確認できる。

  •  環境省 除染情報サイト(josen.env.go.jp/
  •  ふくしま復興ステーション 復興情報ポータルサイト   → www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/
環境省 除染情報サイトから
  •  未だ広域が帰還困難の自治体
     双葉町、大熊町、浪江町
  •  一部帰還困難が残っている自治体
     富岡町、葛尾村、南相馬市、飯舘村
  •  全域居住可能となった自治体
     楢葉町、川内村、田村市、川俣町、広野町

 追)帰還困難区域のうち6町村に特定復興再生拠点区域(上図の青色部分)
   2022年6月、葛尾村、大熊町で帰還・居住再開
   2022年8月、双葉町で帰還・居住再開
   浪江町、富岡町、飯舘村の避難指示解除目標は2023年
 追)2023年、みな解除
   残りの帰還困難区域に新たに特定帰還居住区域を設置して、2020年代に帰還を目指す

 東日本大震災全般のまとめは下のページ。

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被災地 -福島-

 福島は原発事故に注目が移っていったが、津波被害も激しい。
 また、震災関連死も多い。

  •  南相馬
     死者・行方不明者1100人超。うち震災関連死500人超。
     沿岸部で津波被害。原町・小沢、雫など。
     2016年、南部~西部(小高区全域と原町区の一部)で避難指示解除。南西部のみ帰還困難区域。
  •  浪江
     死者・行方不明者600人超。うち震災関連死400人超。
     沿岸部の請戸地区で津波被害。
     町全域避難。2017年、一部避難指示解除。中部~西部が未だ帰還困難区域。
      町役場機能は、二本松市へ移転していた。

     津島
      未だ帰還困難区域。
  •  相馬
     沿岸部、松川浦周辺で津波被害。磯部、原釜地区で大きな被害が出た。
  •  いわき
     沿岸部で津波被害。薄磯、豊間地区で大きな被害が出た。
  •  富岡
     震災関連死400人超。
     沿岸部で津波被害。富岡駅流失。
     福島第二原発所在地。
     町全域避難。2017年、北東部(夜の森/新夜ノ森/大菅/小良ヶ浜/深谷)以外避難指示解除。
      町役場機能は、郡山市へ移転していた。
  •  双葉
     沿岸部で津波被害。
     福島第一原発、中間貯蔵施設所在地。
     2020年、北東部避難指示解除。未だ帰還困難区域広範。
      町役場機能は、埼玉県さいたま市 → 加須市 → 福島県いわき市へ移転。
      
     つい先日まで町全域が帰還困難区域だった。ただし、住民の帰還はインフラ整備後の2022年以降。

     追)2022年8月、双葉駅周辺なども避難指示解除。住民帰還
  •  楢葉
     沿岸部で津波被害。福島第二原発所在地。
     町ほぼ全域避難。2015年、避難指示解除。
      町役場機能は、いわき市 → 会津美里町へ移転していた。
  •  大熊
     沿岸部で津波被害。
     福島第一原発、中間貯蔵施設所在地。
     町全域避難。2019年、一部(大川原、中屋敷)避難指示解除。東部~中部が未だ帰還困難区域。
      町役場機能は、田村市 → 会津若松市へ移転していた。

     追)2022年6月、大野駅周辺、下野上など特定復興再生拠点区域避難指示解除
  •  新地
     沿岸部で津波被害。新地駅流失。
  •  川内
     原発事故直後から村全域避難対象となったが、2011年9月に一部解除。2016年、残っていた地域(東部)が避難指示解除。
      村役場機能は郡山市へ移転していた。 
  •  広野
     沿岸部で津波被害。
     原発事故直後から町全域避難対象となったが、2011年9月に解除。
      町役場機能は小野町 → いわき市へ移転していた。
  •  飯舘
     村全域避難。2017年、南部(長泥地区)以外避難指示解除。
      村役場機能は福島市へ移転していた。

     長泥
  •  葛尾
     村全域避難。2016年、北東部(野行地区)以外避難指示解除。
      村役場機能は会津坂下町 → 三春町へ移転していた。

     野行
      追)一部が2022年6月、特定復興再生拠点区域避難指示解除。帰還困難区域で初めて居住再開
  •  川俣
     町南東の山木屋地区が避難対象となった。2017年、避難指示解除。

     山木屋
  •  田村
     市東部の都路地区が避難対象となったが、2011年9月に一部解除。2014年、残っていた地域が避難指示解除。

     都路
  •  福島[市]
  •  白河
  •  須賀川
     地震直後、藤沼ダムが決壊して下流で被害。
  •  郡山
  •  
  •  
  •  

 双葉郡未来会議(futabafuture.com/) - 双葉郡に避難区域の変遷について記されている。

 浜通りエリアの追加情報は次のページに移した。

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中間貯蔵施設

 除染特別地域(「福島第一原発から北西」)から出た放射性廃棄物(汚染土など)を一定期間保管する施設。
 福島第一原発を取り囲むように国道6号東側の帰還困難区域に整備されている。

 2015年、県内各地の仮置き場から中間貯蔵施設へ輸送開始。
 2020年3月時点で輸送対象約1400万m3のうち約46%の約638万m3が輸送済み。
 2021年度輸送完了の方針。

 2019年1月、大熊町側に中間貯蔵工事情報センターが開所。

 大半を占める低濃度(8000[Bq/kg]以下)の汚染土は再生利用、高濃度の放射性廃棄物は30年以内(2045年まで)に県外の最終処分場(未定)へ。

 汚染土の再生利用は既に難航。
  飯舘村長泥で農地造成。
  二本松市で道路造成に利用しようとして住民反対。
  南相馬市で高速道路の盛土に利用しようとして住民反対。
  ・
  ・
  ・

 宮城、茨城、栃木、群馬、千葉県内の放射性廃棄物(汚染土など)は国が各県内に管理型処分場を新設する計画だが、候補地となった自治体みな反対。

汚染水処理

 核燃料冷却のため原子炉内へ注水し続け、2011年12月、100℃以下の「冷温停止状態」を宣言。以降、燃料の崩壊熱も下がって安定した状態が続いているが、地下水・雨水の流入によって汚染水は増えていく一方。
  ※ 逆に汚染水が地下水脈へ流出してはいけない

 高濃度汚染水は多核種除去設備「ALPS」などで処理後、タンクへ。

 流入前の地下水を汲み上げたり(地下水バイパス)、凍土遮水壁の設置などによって汚染水の発生量は大きく減ったが、敷地内にタンクを建設して貯蔵できる処理水(処理済みの低濃度汚染水)の量は限界に近づいている。
  ※ 汚染水の発生量
    2014年、地下水バイパス稼動前 約540[m3/日]
    2019年時点で100[m3/日]を下回る時もある、とのこと

 2020年2月現在、処理水の貯蔵量は118万m3超(うちALPS等の処理水111万m3超、ストロンチウム処理水7万m3超)。
  ※ 東京電力HPから
    敷地内のタンク約1000基

 2020年末までに約137万m3までタンクを建設し、2022年夏に上限に達する、とのこと。

海洋放出(計画)

 タンク内の処理水には「ALPS」で除去できなかった放射性物質トリチウム(三重水素)が大量に含まれており、トリチウム以外の核種も残っている。

 トリチウムを含んだ水は、自然界に存在し、原発由来のトリチウム水も安全基準をクリアさせれば科学的に「安全」。ただ、「放射性食品」と同じで、誰も責任とらない(とれない)から警戒するのは当然で、風評と言っても根も葉もないデマとはわけが違う。2通りの安全があって、話が噛み合わない。

 汚染水は廃炉完了まで増え続ける。
 トリチウム除去の技術が開発されたというニュースもいくつかあった。

 議論や説得に多くを費やすより、除去に努めたほうが失墜した信頼の回復につながる。技術の力が議論を終わらせるという好例にもなる。

 追)が、
   2021年4月、処理水(トリチウム水など)の海洋放出 決定
   2022年8月、海洋放出のための海底トンネル掘削開始
   2023年、海洋放出予定

廃炉作業

 メルトダウンしないと言われた燃料棒は圧力容器の底をスルーして格納容器の底へ溶け落ちた。その残骸は燃料デブリと呼ばれているが、廃炉作業(原子炉解体・撤去)の最難関が燃料デブリの取り出し作業。

 その前に使用済み核燃料プールから核燃料の取り出し作業。
 4号機完了。
 2019年から3号機で作業。追)2021年2月完了。
 1、2号機は未だ。
 ちなみに3号機は不明な点がある原子炉。事故調査報告書でも不自然なほど触れられていなかった。

 原子炉内の燃料デブリについて分布状況を調査。
  人が近づけないので、遠隔ロボット、ミューオン(μ粒子)計測による透視、……。

  •  燃料デブリの安定状態が「崩壊」しないよう安全確保
  •  燃料デブリ取り出し工法の開発

 廃炉完了は燃料デブリ取り出し(2021年予定)から30-40年かかる見通し。
  追)燃料デブリ取り出しは2023年着手予定
    完了は2050年頃まで

 原子力発電所建設から始まって……。
 ひとたび大事故が起これば、大気汚染、海洋汚染、汚染土の再生利用、低濃度汚染水の海洋放出、放射性廃棄物管理型処分場建設、……。
 最終処分場は、事故が起こらなくても必要。
  「原子力発電は環境にやさしい発電です」。
 

 福島第二原発も大事故未遂だったとされる。

 結局、福島第二原発も廃炉になった。

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